2012. 10. 31

【 ALMA Mail Magazine 】2012年10月31日号 ~アルマ望遠鏡による新しい発見~

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2012年10月31日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array < http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/> ====================================================================
――― 国立天文台のALMA(アルマ)計画に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月月齢16の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台が進めているアルマ計画の近況をお届けいたします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報 / アルマ通信
 10月 5日 ACAアンテナ16台引き渡し完了記念セレモニー
 10月15日 大人のための天文科学教室「日本の電波望遠鏡の進化」
 10月29日 出雲科学館での講演と小中学生への授業
PICK UP!
 アルマ望遠鏡による新しい発見
– ちょうこくしつ座R星の不思議な渦巻き星
– オリオン星雲中に新しい水分子メーザーを発見
イベント情報
 11月11日 「アルマ望遠鏡が描く新しい宇宙像」@日本科学未来館
 12月 2日 「暗黒宇宙の謎に迫る」@日本科学未来館
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 ■ 最新情報 / アルマ通信 ■
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◎ 10月 5日 ACAアンテナ16台引き渡し完了記念セレモニー
2012年8月23日に日本が開発・製造を担当する16台のアンテナすべてが合
同アルマ観測所に引き渡され、運用に供せられることになりました。
10月1日、国立天文台三鷹キャンパスで引き渡し完了を記念して、関係者が
集まりました。
[アルマ通信] ACAアンテナ16台引き渡し完了記念セレモニー
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/1005aca16.html
◎ 10月15日 大人のための天文科学教室「日本の電波望遠鏡の進化」
10月7日、静岡県焼津市のディスカバリーパーク焼津で石黒正人 国立天文台
名誉教授による大人のための天文科学教室「日本の電波望遠鏡の進化 - 焼
津のパラボラ技術からアルマ望遠鏡まで – 」が開催されました。
焼津出身で日本初の赤道儀式パラボラアンテナを作った法月惣次郎氏生誕100
年を記念する講演会です。日本の電波天文学とアルマ望遠鏡を率いてきた石黒
氏の話に、会場は熱心に聞き入っていました。
[アルマ通信] 大人のための天文科学教室「日本の電波望遠鏡の進化」
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/1015post_453.html
◎ 10月29日 出雲科学館での講演と小中学生への授業
快晴に恵まれた10月20日と21日、石黒正人 国立天文台名誉教授によるア
ルマ望遠鏡についての講演と、小中学生に向けたパラボラアンテナ実験と授
業が開催されました。
小中学生は紙とアルミホイルでパラボラアンテナを製作し、放送電波を受信
することに成功しました。子供達はこの実験で、「目に見えない電波」をより
身近に感じることができたようです。
[アルマ通信] 10月29日 出雲科学館での講演と小中学生への授業
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/1029post_457.html
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 ■ PICK UP! ■
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◎アルマ望遠鏡による新しい発見
アルマ望遠鏡の観測から得られた成果が次々と発表されています。10月11日
に不思議な渦巻き星の発見、10月23日に新しい水分子メーザーの発見が発表
されました。
不思議な渦巻きはちょうこくしつ座R星のまわりにあり、渦巻き構造とそれを
取り囲む球殻構造がはっきりととらえられています。一見CGのように見える
画像ですが、アルマ望遠鏡による観測画像です。
ちょうこくしつ座R星は寿命の近い年老いた星で、赤色巨星に分類されます。
赤色巨星のまわりにこのような渦巻き構造と球殻構造が一緒に見つかったのは
今回が初めてのことです。また、今回初めてその渦巻構造の3次元情報を得る
こともできました。3次元情報は動画でご覧ください。
星は核融合反応によって様々な物質を作り出し、それらを周囲にばらまきます。
今回、ちょうこくしつ座R星から予想以上に大量の物質が周囲にまき散らされて
いることも発見されました。これらは私たちの体を作っている物質の元になる
ものです。
[プレスリリース] アルマ望遠鏡が見つけた不思議な渦巻き星
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201210116856.html
冬の星座として私たちにもなじみのあるオリオン座には、オリオンKLという
星雲があります。オリオンKLは星の材料になるガスや塵がたくさんある、星
の生まれる現場です。今回の研究では、オリオンKLにある電波源I(アイ)
という天体から新しいメーザーが発見されました。メーザーとは強い電波の
ことです。光を集めて強くしたものはレーザーですが、その電波版といえま
す。高いエネルギー状態にある水分子が出すメーザーが、電波源Iのような
若い天体から発見された例は今までありませんでした。電波源Iにはガスの
円盤や吹き出すジェットがあると考えられますが、今後の観測によって天体
の素顔に迫ることができると期待されます。
[プレスリリース] アルマ望遠鏡でオリオン星雲中に新しい水分子メーザーを発見
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/1015post_453.html
ひとつめの研究成果はアルマ望遠鏡のアンテナ16台を使った科学観測から、
ふたつめの成果は科学評価観測によるデータから得られたものです。科学
評価観測とは、動き始めたばかりのアルマ望遠鏡がきちんと動作しているか、
データにおかしなところがないかを確かめるための観測で、一部のアンテナ
のみを用いています。しかしながらその性能は他のサブミリ波望遠鏡の性能
を大きく凌駕し、今までは判別することができなかった天体の様子を解明す
るに至りました。
アルマ望遠鏡が完成すれば、解像度は現在の50倍に達します。今後も新しい
発見をもたらしてくれることでしょう。
■詳しくは、アルマ望遠鏡ウェブサイトをご覧ください。
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/ (日本語)
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/e/ (英語)
■アルマ・メールマガジン バックナンバー
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/mailmagazine/
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 ■ イベント情報 ■
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◎ 11月11日 「アルマ望遠鏡が描く新しい宇宙像」@日本科学未来館
国立天文台公開講演会
講師: 平松正顕(国立天文台チリ観測所)
講師: 松田有一(国立天文台チリ観測所)
時間: 13:00 – 14:30 (12:45 開場)
会場: 日本科学未来館 7階 みらいCANホール (東京都江東区)
定員: 300名、事前申し込み不要、参加費無料
[詳細]
http://www.nao.ac.jp/news/notice/2012/20121019-naoj-lecture.html
◎ 12月 2日 「暗黒宇宙の謎に迫る」@日本科学未来館
学術講演会「暗黒宇宙の謎に迫る-宇宙創成、そして惑星・生命誕生」
講師: 小松英一郎(ドイツ マックスプランク天体物理学研究所 所長)
講師: エヴィン ヴァン ディショック(オランダ ライデン大学 教授)
特別ゲスト: タイス ドゥフラウ(チリ 合同アルマ観測所 所長)
時間: 14:00 – 17:30 (13:30 開場)
会場: 日本科学未来館 7階 みらいCANホール (東京都江東区)
申込: 11月30日正午まで。ただし、300名に達し次第締め切ります。
定員: 300名(事前申込制、先着順)、参加費無料
[詳細・申し込み]
http://www.nao.ac.jp/news/notice/2012/20121025-naoj-lecture.html
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 ■ あとがき ■
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10月26日、27日は国立天文台三鷹の特別公開を行いました。ご来場いただ
いた皆様、ありがとうございました。広いキャンパス内では様々な催しが行
われました。実際の星空から最先端の研究まで楽しめる一日となりましたで
しょうか。
これから開催される2つの講演会をご紹介します。11月11日(日)は、国立天
文台公開講演会「アルマ望遠鏡が描く新しい宇宙像」と題して、若手研究者
がアルマ望遠鏡と最新の宇宙について語ります。事前申し込み不要、参加費
無料ですので、お気軽にご参加ください。サイエンスアゴラ2012内のイベン
トとしての開催のため、近隣では他のイベントも多数開催されます。
12月2日は学術講演会「暗黒宇宙の謎に迫る-宇宙創成、そして惑星・生命
誕生」と題して、世界の第一線で活躍する気鋭の研究者に、暗黒宇宙に迫る
研究の最先端についてご紹介いただきます。一部は英語での講演で同時通訳
はありませんが、日本語の講演概要を事前に配布し、発表スライドの日本語
要約をスクリーンに投影します。こちらは事前申し込みが必要ですので、イ
ベント情報のリンク先をご確認ください。海外で活躍する研究者の貴重な講
演です。皆様、足をお運びください。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
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