2013. 7. 24

【 ALMA Mail Magazine 】 2013年7月24日号 ~日本が開発したバンド4受信機による天体電波画像の撮影に成功~

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2013年7月24日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array < http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/>
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――― 国立天文台のALMA(アルマ)計画に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月月齢16の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台が進めているアルマ計画の近況をお届けいたします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報
 7月19日 観測成果:若い星のまわりのスノーラインを直接撮像
アルマ通信
 7月 9日 サンチャゴ日本人学校での七夕講演会
 7月19日 東アジア・アルマディベロップメントワークショップを開催
PICK UP!
 6月27日 日本が開発したバンド4受信機による天体電波画像の撮影に成功
イベント情報
 8月 3日 プラネタリウムでの講演会@倉敷科学センター
 8月10日 講座@朝日カルチャーセンター名古屋
 8月24日 国立天文台野辺山 特別公開
 9月 1日まで THE世界一展@うめきたグランフロント大阪
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 ■ 最新情報 ■
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◎ 7月19日 観測成果:若い星のまわりのスノーラインを直接撮像
米国メリーランド大学の研究者をはじめとする研究チームが、アルマ望遠鏡を
用いて若い星「うみへび座TW星」を取り巻くガスの円盤を観測しました。
その結果、ガスに含まれる一酸化炭素分子が凍りついている領域をはっきり
捉えることに成功しました。物質が凍るかどうかの境界をスノーラインと呼び
ますが、惑星が作られる現場であるガスの円盤におけるスノーラインをこれほど
はっきり写し出したのは、今回が初めてです。これは、この円盤の中で今後どの
ような惑星が作られるかを調べるうえで、大変重要な成果です。
[最新情報] 観測成果:若い星のまわりのスノーラインを直接撮像
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2013/0719post_504.html
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 ■ アルマ通信 ■
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◎ 7月 9日 サンチャゴ日本人学校での七夕講演会
7月4日、チリのサンチャゴ日本人学校で毎年恒例の七夕講演会が開催されました。
今年は国立天文台チリ観測所の亀野誠二教授が講師を務め、宇宙の膨張やブラック
ホール、そしてアルマ望遠鏡について紹介しました。子どもたちや先生からは
多くの質問があり、天文学に対する興味の高さを感じました。下記ページには
子どもたちから寄せられたメッセージも掲載していますので、ご覧ください。
[アルマ通信] サンチャゴ日本人学校での七夕講演会
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2013/0709post_501.html
◎ 7月19日 東アジア・アルマディベロップメントワークショップを開催
7月8~9日の2日間、国立天文台三鷹キャンパスで東アジア・アルマディベロップ
メントワークショップを開催しました。日本と台湾、韓国から69名の研究者が
集まり、今後のアルマ望遠鏡の機能増強について議論しました。アルマ望遠鏡
が今後も天文学をリードしていくため、20年から30年後に予想される研究テーマ
と、そこに挑むために必要なアルマ望遠鏡の性能について、様々な意見が交わされ
ました。
[アルマ通信] 東アジア・アルマディベロップメントワークショップを開催
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2013/0719post_503.html
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 ■ PICK UP! ■
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◎ 6月27日 日本が開発したバンド4受信機による天体電波画像の撮影に成功
2013年1月に実施されたアルマ望遠鏡試験観測により、日本が開発したバンド4
受信機による初めての天体電波画像の撮影に成功しました。観測対象となった
のは、へびつかい座にある原始星(赤ちゃん星)IRAS16293-2422で、この天体
の周囲に存在する硫化炭素分子が発する電波をとらえ、その分布を画像化しま
した。
アルマ望遠鏡に搭載される10種類の受信機のうち、3種類の開発を日本が担当
しています。これらは国立天文台先端技術センターが中心となって開発を進め
てきたものです。バンド4受信機開発チームリーダーを務める鵜澤佳徳 准教授
は、「私たちが作り上げてきたバンド4受信機で初めて天体の電波画像を撮影
することに成功したことを聞き、とてもうれしく思います。開発には数多くの
技術的課題がありましたが、チーム一丸となって課題をひとつひとつクリアする
ことでここまでたどり着くことができました。世界の天文学者がこの受信機を
使って宇宙の謎を解いてくれることを期待しています。」と述べています。
[最新情報]
日本が開発したアルマ望遠鏡バンド4受信機による初めての天体電波画像の撮影に成功
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2013/06274_7.html
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 ■ イベント情報 ■
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◎ 8月 3日「動き出した世界最大の電波望遠鏡・アルマ望遠鏡の全貌」
開館20周年記念連続講演会”宇宙の今をさぐる”
会場:岡山県倉敷市 倉敷科学センター プラネタリウム
対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)
定員:200名(先着順・参加申し込みはお電話で:086-454-0300)
参加費:無料
時間: 19:00 – 20:30
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)
[詳細] 倉敷科学センター
http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/lifepark/ksc/index.html
◎ 8月10日 講座
「始動し出したアルマ望遠鏡 -天文学の新時代の扉が開かれる-」
講師:国立天文台教授・総合研究大学大学院教授 井口 聖
時間:15:30 – 17:30
場所:愛知県 朝日カルチャーセンター名古屋
申込み:必要
[詳細・申込] 朝日カルチャーセンター名古屋
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=211658&userflg=0
◎ 8月24日 国立天文台野辺山 特別公開
会場:国立天文台野辺山宇宙電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村)
時間:9:30 – 16:00(入場受付は15:30まで)
内容:ポスター展示、映像展示、講演会など
[詳細] 国立天文台野辺山 特別公開2013
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2013/open2013_top.html
◎ 9月 1日まで THE世界一展 ~魅せますニッポンの技と人~
場所:大阪府 ナレッジキャピタル イベントラボ
  (うめきた・グランフロント大阪 The Lab. 1階入口)
時間: 11:00 – 20:00 (最終受付19:00)
展示協力:「地球の目をつくる」
[詳細] THE世界一展
http://the-sekai1.jp/
■詳しくは、アルマ望遠鏡ウェブサイトをご覧ください。
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/ (日本語)
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/e/ (英語)
■アルマ・メールマガジン バックナンバー
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/mailmagazine/
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 ■ あとがき ■
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今回は、アルマ望遠鏡が若い星のまわりのガス円盤にスノーラインを見つけた、
というニュースをお伝えしました。スノーラインはこれまで惑星形成に関する
理論研究ではよく登場するものでしたが、観測によってこれほどはっきり写し
出されたのは初めてのことで、感度と解像度が高いアルマ望遠鏡の威力を研究
者も身を持って体感しているところです。理論的に予測された通りのものが見
える、あるいは理論的に予測されていなかったまったく新しいものが見える。
どちらも、アルマ望遠鏡のようなパワフルな観測装置が動き始めてこそ描かれる
新しい宇宙の姿です。
そして、そんなパワフルな装置の一部として、日本が開発したバンド4受信機も
動き始めました。今回発表した画像は、アンテナ6台に搭載されたバンド4受信
機を使った試験観測で得られたものですので、感度や解像度としては本観測には
及びません。今後さらなる試験観測を重ね、その本領を発揮できたあかつきには、
また一つ宇宙への新しい窓が開くことになります。日本で開発を担当したチーム
も、チリで試験観測を行っているチームも、そして世界の天文学者も、この受信
機がどんな宇宙の謎に迫ってくれるのか、楽しみにしています。成果は順次、
アルマ望遠鏡のウェブサイトなどで発表していきますので、ご期待ください。
また8月24日(土)には、年に一度の国立天文台野辺山 特別公開が開催されます。
野辺山宇宙電波観測所はアルマ望遠鏡のルーツの一つであり、今年もアルマ望遠
鏡の最新情報をご紹介します。この他、45m電波望遠鏡や電波へリオグラフ観測室
の見学やさまざまな展示物で、電波天文学の「いま」をお伝えします。涼しい
野辺山高原に、ぜひ足をお運びください。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
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