2014. 9. 10

【ALMA Mail Magazine】 2014年9月10日号 ~重力レンズを使って遠方の衝突銀河を詳細観測~

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2014年9月10日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array
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――― 国立天文台アルマ望遠鏡に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月「月齢16」の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台のフラッグシップ望遠鏡のひとつ、アルマ望遠鏡に関する
最新情報をお知らせします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報
  8月20日 自然科学研究機構と韓国天文宇宙科学研究院、アルマ望遠鏡に関する
 協定書に署名
アルマ通信
  8月23日 国立天文台野辺山 特別公開2014
PICK UP!
  9月10日 重力レンズを使って遠方の衝突銀河を詳細観測
イベント情報
 ~9月23日 宇宙博2014
 10月 4日 生理学研究所 一般公開 2014 特別講演
 10月15日 CSJ化学フェスタ2014 公開講座「化学と宇宙」 講演会
 10月24日・25日 三鷹・星と宇宙の日2014 国立天文台三鷹地区特別公開
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 ■ 最新情報 ■
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◎ 8月20日 自然科学研究機構と韓国天文宇宙科学研究院、アルマ望遠鏡に関する
 協定書に署名
2014年8月17日、自然科学研究機構は韓国天文宇宙科学研究院 (KASI) との間でアルマ
望遠鏡に関する協定書に署名を行いました。これにより、日本と台湾からなるアルマ
望遠鏡東アジアコンソーシアムに韓国が加わります。
日本と韓国のあいだでは、天文学においてこれまでも活発に共同研究が行われて
きました。遠く離れた電波望遠鏡を結合し、一つの望遠鏡として機能させるVLBI
では2001年から共同研究が進められており、アルマ望遠鏡についても2012年3月に
国立天文台とKASIは協力協定に調印しています。
今回の協定により、正式に韓国がアルマ望遠鏡プロジェクトに参加し、アルマ
望遠鏡の運用と新規観測装置の開発に貢献します。これにより、日本と韓国の間で
電波天文学分野における協力がより一層緊密になり、東アジア地域においてより
多彩で強力な研究を推進できると期待されます。
[最新情報] 自然科学研究機構と韓国天文宇宙科学研究院、アルマ望遠鏡に関する
 協定書に署名
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/0820post_556.html
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 ■ アルマ通信 ■
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◎ 8月23日 国立天文台野辺山 特別公開2014
8月23日(土)に、国立天文台野辺山宇宙・太陽電波観測所の特別公開が開催
されました。国立天文台チリ観測所では、例年と同様にアルマ望遠鏡・アステ
望遠鏡の展示を行い、サブミリ波で見える宇宙の解説からアルマ望遠鏡・アステ
望遠鏡の概要と最新成果をパネル展示や映像でご紹介しました。
またチリのアルマ望遠鏡山麓施設に出張していた澤田剛士国立天文台チリ観測所
助教とビデオ通話を行い、時差12時間の現場からの生中継で現在のコントロール
ルームの様子や屋外のアンテナの様子をご紹介しました。
特別講演では、立松健一 国立天文台チリ観測所教授が「電波で見る宇宙:野辺山、
そして南米のアルマ望遠鏡の成果」と題して講演を行いました。
[アルマ通信] 国立天文台野辺山 特別公開2014
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/0829_2014_1.html
[講演録画] 「電波で見る宇宙:野辺山、そして南米のアルマ望遠鏡の成果」
講演者:立松健一(国立天文台チリ観測所教授)
http://www.ustream.tv/recorded/51729281
(冒頭1分ほど無音の時間があります)
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 ■ PICK UP! ■
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◎ 9月10日 重力レンズを使って遠方の衝突銀河を詳細観測
アルマ望遠鏡とさまざまな地上望遠鏡・宇宙望遠鏡を使って、宇宙が現在の半分の
年齢だった時に起きた銀河の衝突がこれまでになくはっきりと写しだされました。
手前の銀河による重力レンズ効果を使うことで、この衝突銀河H-ATLAS J142935.3-
002836が、有名な近傍の衝突銀河である触角銀河によく似ていることがわかった
のです。
アインシュタインの一般相対性理論により、非常に強い重力が働く場所では光
すらも曲げられることが予言されました。こうした現象は実際に宇宙で観測
されており、重力レンズと呼ばれます。レンズの役割を果たすのは、銀河や
銀河団のような巨大な質量をもつ天体です。この天然のレンズによって背後の
天体が拡大されるため、遠くの天体(宇宙が若かったころに存在する天体)を
天文学者は詳しく調べることができるのです。
今回観測された天体H1429-0028は、まさにふたつの銀河が衝突しつつあるところ
であり、互いの銀河に含まれていたガスが圧縮されることで、1年間に太陽400個
分の星が作られる「爆発的星形成」の状態にあることが観測でわかりました。
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡等による観測データを合成した画像では、
リング状に引き伸ばされた遠方の衝突銀河のようすがよくわかります
(リンク先に画像を掲載)。
[最新情報] 重力レンズを使って遠方の衝突銀河を詳細観測
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/0910post_560.html
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 ■ イベント情報 ■
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◎ ~9月23日 宇宙博2014
会場:幕張メッセ 国際展示場10・11ホール (千葉県千葉市)
時間:9:30 – 17:00(入場は16:30まで)
内容:アルマ望遠鏡日本製アンテナ 1/20 模型、超伝導受信機2種、
   建設地調査時のノートを展示
[詳細] 宇宙博2014
http://www.space-expo2014.jp/
◎ 10月 4日 生理学研究所 一般公開 2014 特別講演
「アルマ望遠鏡、ついに始動! -天文学の新時代の扉が開かれる-」
講演者:井口 聖(国立天文台電波研究部主任・国立天文台チリ観測所教授)
時間:14:00~15:15
会場:岡崎コンファレンスセンター
予約:不要
[詳細] 生理学研究所 一般公開 2014
http://www.nips.ac.jp/contents/event/entry/2014/10/2014.html
◎ 10月15日 CSJ化学フェスタ2014 公開講座「化学と宇宙」
「宇宙化学とアストロバイオロジー ~生命の起源は宇宙?~」
講演者:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)他
時間:16:45-17:20
場所:タワーホール船堀
申込:参加登録が必要(無料)
[詳細] CSJ化学フェスタ2014
http://www.csj.jp/festa/2014/program.html#PUB3
◎ 10月24日・25日
「三鷹・星と宇宙の日2014」
国立天文台三鷹地区特別公開
場所:国立天文台三鷹キャンパス(東京都 三鷹市)
内容:ALMA棟でのミニ講演会、ポスター展示など
[詳細] 三鷹・星と宇宙の日2014
http://www.nao.ac.jp/open-day/2014/
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 ■ あとがき ■
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毎年恒例の国立天文台野辺山特別公開、今年もおよそ2700名の来場をいただき
無事終了しました。次は国立天文台の本部キャンパスがある東京都三鷹市で、
『三鷹・星と宇宙の日2014』(10月24・25日)においてポスター展示やミニ
講演を開催する予定です。こちらもぜひお越しください。
少し先のことになりますが、10月下旬からはアルマ望遠鏡に関する展示が
いくつも並行して行われます。ひとつは、10月24日から東京・六本木の
21_21 DESIGN SIGHT で開催される『活動のデザイン展』。
http://www.2121designsight.jp/program/fab_mind/index.html
世界の様々な場所で活躍する作家とならんで、アルマ望遠鏡プロジェクトが
PARTY・Qosmoという著名アーティスト集団とタッグを組んで、映像と音の
作品を制作・展示します。次に、東京・上野の国立科学博物館で10月28日
から開催の『ヒカリ展』。 http://hikari.exhn.jp/ アルマ望遠鏡が
とらえる電波も光と同じ電磁波の仲間ということで、アルマ望遠鏡関連物品
の展示を行います。さらに新宿のコニカミノルタプラザでも、アルマ望遠鏡
に関する展示会が11月に開催される予定です。これらのイベントについては、
詳細がきまりましたらまとめてアルマ望遠鏡ウェブサイトでご案内いたします
ので、ぜひご期待ください。
これらの展示はいずれも東京での開催ですが、ネット中継つきの講演会も
現在企画中です。東京まで足を運ぶのが難しいという方にもアルマ望遠鏡の
『今』を楽しんでいただける企画をこれからも考えていきたいと思いますので、
今後ともよろしくお願いします。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
Copyright(C) 2014 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA), NAOJ.
All rights reserved.
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