アルマ望遠鏡科学観測サイクル8 2021の観測提案審査が進行中

2021年10月から開始されるアルマ望遠鏡科学観測サイクル8 2021の観測提案の提出が、4月21日に締め切られました。提出された観測提案の中には大規模観測計画(Large Program) [1] 12mアレイで50時間以上、あるいはモリタアレイの7mアレイ単独で150時間以上の観測時間を必要とする観測を、大規模観測計画と呼びます。が40件含まれ、要求観測時間の合計はこれまでのどの観測サイクルよりも大きなものでした。要求時間をもとにした倍率は12mアレイで6.1倍となり、前シーズン(サイクル7)の4.5倍を大きく上回ります。

アルマ所長のショーン・ドゥアティ氏は「今年の観測提案募集に対する反響の大きさには驚きました。アルマ望遠鏡が関係するすべての研究領域において、研究者コミュニティからより野心的な観測計画が提出されたのです。これは、私たちがより大きな観測計画の提案を呼び掛けたこと、あるいはパンデミックの影響も一部にあるかもしれません。いずれにしても、要求時間の増加と大型観測計画の提案数の増大には目を見張るものがあります」とコメントしています。

提出された観測提案は世界中の研究者によって審査されますが、今回からその審査方法を変更することになりました。これまでは事前に選ばれた限られた数の審査員が審査していましたが、今回からは観測提案を提出した研究者自身が他の提案を審査する方式(distributed peer review: 分散相互評価)となります。具体的には、ある観測提案を提出した研究チームのうちの1人が、他の10件の観測提案を審査します。この新しい審査は5月6日に開始され、要求観測時間が比較的短い1497件の観測提案がこの方式で審査されています。大規模観測計画をはじめ要求観測時間が長い提案については、従来と同じ審査委員会方式で審査が行われます。

アルマ望遠鏡のオブザーバトリー・サイエンティストを務めるジョン・カーペンター氏は、「従来の方式では、一人の審査員が100件以上の提案を審査していました。今回採用した分散相互評価形式は、従来の形式に比べて審査する側の負担を大きく軽減することができます。さらに、より多くの研究者が審査に関わることで、審査過程の透明化にも資することができます」と語っています。

さらに今回から、観測提案の提案者名が伏せられた状態で審査が行われます。観測提案ハンドリングチームのアンドレア・コヴィロン氏は「提案者の性別や所属、国籍によって審査に偏りが生じることを防ぐために、数年にわたっていくつかの対策を取ってきました。観測提案者の名前を伏せることで、審査員は提案書の科学的な記述に集中して審査することができます」とコメントしています。

科学観測サイクル8 2021の審査結果は、2021年8月初旬に公表される予定です。

ALMA from the air

Credit: Clem & Adri Bacri-Normier (wingsforscience.com)

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1. 12mアレイで50時間以上、あるいはモリタアレイの7mアレイ単独で150時間以上の観測時間を必要とする観測を、大規模観測計画と呼びます。

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