チリでの日食観察オンライン講習会

チリでは、2019年に引き続き、2020年12月14にも皆既日食を観察できる機会が巡ってきました。この天文学の一大イベントに乗って、チリ在住の邦人の方々に天体観察の面白さについて知っていただくため、チリの首都サンティアゴに事務所を構える国立天文台チリ観測所(以下、チリ観測所)は、皆既日食前日の13日(日)午後にオンライン講演を開催しました。以下、講師を担当した朝木義晴准教授(国立天文台チリ観測所・合同アルマ観測所)からのレポートです。
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Credit: NAOJ

 
講演会当日、邦人が多く住むサンティアゴは湿気の少ない気持ちの良い快晴で、普段でしたら多くの人が週末を楽しむために外出したり、あるいは皆既日食が観察できるチリ南部へ旅行している最中だったかもしれません。しかし首都州はオンライン講演3日前からコロナ・パンデミック阻止対策として準ロックダウン状態になり、週末は外出禁止になってしまっていました。そのことがあってか、講演中はおよそ30ものオンライン接続がありました。1つのモニタを複数の方々で御視聴していただいたところもあり、30人を上回る方々にご覧いただけたようです。

 
講演では、日食の起こる仕組みや日食の観察の仕方、12月21日の木星と土星の大接近、そして「はやぶさ2」の旅路と6日に地球に届けられたカプセルの話をさせていただきました。全ての講演が終わったあと、視聴者の方々から拍手のアイコンをいただけ、ご覧いただいた方々には幾らかでも楽しんでいただけたようです。翌日の日食では、サンティアゴ在住の方からSNSで「木漏れ日の話を教えてもらったおかげです。」というメッセージとともに部分食中の木漏れ日の写真を送っていただきまして、とても嬉しく思いました。

 
今回は発案から準備までの期間が短く、講演会の告知を出したのがわずか3日前だったことや、チリ観測所が日頃からお付き合いしている邦人コミュニティへのメールによるアナウンスのみだったこともあり、邦人コミュニティに所属しない方々には広まらなかったかもしれず、告知には改善の余地があるかもしれません。皆既日食のような大きな天文イベントに限らず、定期的に天文学のことを発信する邦人向けオンライン講演をチリで行うのも良いかもしれないと思いました。

 

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Credit: NAOJ

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