3月19日から22日まで、国際基督教大学(東京都三鷹市)にて日本天文学会2014年春季年会が開催されました。この期間中にはアルマ望遠鏡に関連する2つのセッションが企画されました。
まず3月19日には、特別セッション「ALMAアーカイブデータが切り拓く天文学」が開催され、およそ200人の研究者が参加しました。アルマ望遠鏡を用いて観測を行うためには観測提案書を提出し、厳しい審査を勝ち抜く必要がありますが、こうして得られたデータは提案者に届けられた1年後には公開データアーカイブに登録され、全世界の誰でもデータをダウンロードして研究に使うことが可能になります。アルマ望遠鏡で得られるデータは膨大であるため、さまざまな切り口で解析すればたくさんの成果が生み出される「宝の山」と言えます。今回の特別セッションでは、まず林正彦 国立天文台長によるアーカイブ研究の紹介のあと、愛媛大学の長尾透教授、国立天文台の廣田朋也助教がそれぞれ実際にアーカイブデータを用いて行われた研究内容を紹介するとともに効果的なアーカイブデータの使い方について講演されました。最後に国立天文台チリ観測所のErik Muller特任助教が、アーカイブシステムの使い方を順を追って紹介しました。
3月21日と22日には、東アジア合同企画セッション「ALMAの初期科学成果」が開催されました。日本だけでなく台湾や韓国、イギリスの研究者も参加し、アルマ望遠鏡初期科学観測で得られた様々な成果が発表されました。既にプレスリリースで発表した成果も含まれますが、いずれも既存の電波望遠鏡では得ることのできない高品質なデータをもとにした研究成果であり、研究者は発表に聞き入り、活発な議論をしていました。
写真は、会場いっぱいの聴衆に向けてアルマ望遠鏡データアーカイブについて紹介する林正彦 国立天文台長です。