去る5月7日早朝 (現地時間)、国立天文台チリ観測所所属の森田耕一郎教授 (享年58) が逝去されたことは、まことに残念です。ご遺族の方に心からお悔やみ申し上げます。
森田耕一郎教授は、1980年代、野辺山宇宙電波観測所でミリ波干渉計の建設に従事し、複数のアンテナを組み合わせて一つの望遠鏡として動作させる「開口合成法」の研究において世界を代表する研究者の1人でありました。2000年代になり、日米欧共同プロジェクトであるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計「アルマ望遠鏡」計画に参加し、日本が分担する「アタカマコンパクトアレイ」のアンテナ16台の配列設計を行い、アルマ望遠鏡の性能を最大限に引き出すためのミリ波サブミリ波帯での画像の高画質化の研究において多大な業績を残されました。その後、2010年にチリに設置された合同アルマ観測所のメンバーとなられ、アルマ望遠鏡のシステム性能評価を行うチームのリーダーという中心的な立場で国際的に活躍されました。
今回のことは、あまりに突然のことであり、アルマ望遠鏡プロジェクト職員一同、深い悲しみを共有しつつ、森田耕一郎教授の遺志を継いで、前に進んで行くことを改めて誓うとともに、教授のご冥福をお祈り致します。
なお、2013年3月にACAの別名を故 森田耕一郎 国立天文台チリ観測所教授の名を冠した「モリタアレイ」とすることが決定されました。日本国外に設置される望遠鏡に日本人の名前がつくのは初めてのことです。この命名は、アルマ望遠鏡における故 森田教授の貢献の大きさを物語るものです。
詳しくは、5月7日付プレスリリース:アルマ望遠鏡日本製パラボラアンテナ16台の山頂施設設置が完了 をご覧ください。
アルマ望遠鏡山麓施設(標高2900m)では、森田教授の突然の逝去を悼み、アルマ望遠鏡プロジェクトパートナーの半旗が掲げられました。
下の写真は、2011年9月にサンティアゴの合同アルマ観測所で撮影された森田教授です。