以下は受賞されたChat Hull特任助教のコメントです。
国立天文台若手研究者奨励賞を受賞できて、たいへん光栄です。受賞の対象となった最も若い原始星の形成における磁場の役割についての研究は、私がカリフォルニア大学バークレー校の大学院生だった10年前に始め、アメリカ国立電波天文台(NRAO)のジャンスキーフェローとしてハーバード・スミソニアン天体物理学センターに在籍中も続けていたものです。しかし、国立天文台のサポート、とくに国立天文台フェローとしてチリ観測所やサンティアゴの合同アルマ観測所の支援を得て研究に取り組めたここ3年間は、私の今までのキャリアの中でもっともエキサイティングで実り多き時期だったと断言できます。
私たちの研究の最近の進展は、大学院生のValentin Le Gouellecさんのたゆまぬ努力なしには達成できなかったでしょう。彼は、欧州南天天文台(ESO)の大学院生としてここサンティアゴで私と一緒に研究した2年間で、原始星周辺の磁場の理解を次のレベルに押し進めてくれました。彼は現在、フランス原子力・代替エネルギー庁に戻って、Anaëlle Maury先生の下で博士課程の研究を進めています。その後は、さらに素晴らしい研究にチャレンジすることでしょう。Valentinさんのチリ滞在中の国立天文台のサポートについて、深く感謝しています。特に、私とValentinさんが、この数年間に科研費の課題の遂行のため、科研費を効率的・効果的に利用できるように努力していただいたチリと三鷹スタッフの皆さんにお礼を言わなければなりません。国立天文台の任期付き研究者が、日本のみならずチリに研究拠点を置く場合でも日本学術振興会科学研究費助成事業のサポートを受けられることは、国立天文台で研究する上で比類のないメリットであり、今回の受賞研究でも重要な役割を果たしました。
最後に、この数年の間、私をサポートしてくださった多くの方々に感謝いたします。まず真っ先に、チリでの野生味に富んだ生活を共にしてくれた妻のリサと息子のマックスに感謝します。ありがとう。次に、東アジア、北米、ヨーロッパに広がっている多様で魅力的な研究者仲間のネットワーク、特にALMA、NRAO/米国北東部大学連合、ESO、国立天文台チリ観測所のスタッフに感謝いたします。彼らは毎日三か国語を駆使して仕事をしています。天文学がグローバルな学問であることを体現していると言ってもよいでしょう。そして最後に、私の研究グループの成功のために懸命に支援していただいた国立天文台の職員の方々、福井さん、菊池さん、三鷹ALMA室の皆さん、Álvaroさん、深川さん、齋藤さん、国立天文台アルマプロジェクトと科学研究部の同僚と共同研究者のみなさん、後藤さん、鈴木さん、山本さん、白土さん、研究支援係や総務課、財務課やサポートデスクで働く数多くのみなさん、現在とかつてのチリ観測所の同僚のみなさん、とくにRicardoさん、 Gabrielaさん、 Lorenaさん、一山さん、奥村さん、阪本さん、浅山さん、塚野さん、山藤さん、磯﨑さん、南谷さん、他のみなさんに感謝いたします。
では、良い春をお迎えください。2021年は、健やかにより大きな発見を目指して“onward and upward!(前向きに行こう)