三鷹・星と宇宙の日2024 アルマパート報告
国立天文台三鷹の特別公開「星と宇宙の日2024」が、10月19日(土)に行われました。星と宇宙の日は、三鷹キャンパスの施設公開…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2017年7月10日号
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今夜は「月齢16」、
アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎産声から探る巨大赤ちゃん星の成長
国立天文台/総合研究大学院大学の廣田朋也
氏を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を
使って、オリオン大星雲の中に潜む巨大原始星
「オリオンKL電波源I(アイ)」を観測し、原始星
から勢いよく噴き出すガス(アウトフロー)が回転
していることをはっきり捉えることに成功しました。
その回転は巨大原始星を取り巻くガス円盤の
回転と一致しており、円盤の遠心力と磁場の力
によってアウトフローが宇宙空間に押し出されて
いることを示す、確固たる証拠といえます。
巨大原始星の誕生メカニズムには謎が多く残さ
れていますが、回転しながら噴き出すガスを
明確に描き出した今回の観測成果は、その謎の
解明に大きく一歩を踏み出すものといえます。
https://alma-telescope.jp/news/press/orion-201706
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topics
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◎「ハンバーガー原始星」を取り巻く有機分子と回転ジェット
生まれたばかりの原始星HH212は、星を取り
巻く塵の円盤を真横から見る形になっていて、
その中心面に暗い筋が入っているため、まるで
ハンバーガーのように見えます。台湾 中央研究
院天文及天文物理研究所のチンフェイ・リー氏を
はじめとする研究チームは、この「ハンバーガー
原始星」をアルマ望遠鏡で観測し、ふたつの大き
な発見をしました。
ひとつめの発見は、原始星を取り囲む円盤の
上空部分に、複雑な有機分子を発見したこと、
もうひとつの発見は、この原始星から噴き出す
ガスのジェットが回転していることを明らかに
したことです。これは、星の誕生に関する長年の
謎である「ガスがどのように原始星に降り積もる
のか」という問題を解く手がかりになるものです。
https://alma-telescope.jp/news/space_hamburger-201707
◎乱流の中で生まれた互い違いの双子星
アルマ望遠鏡による観測で、「離れた連星系が
どのようにして生まれるのか」という天文学の
長年の謎に決定的な答えが導き出されました。
韓国・キョンヒ大学のジョンユァン・リー氏と国立
天文台の立松健一氏らをはじめとする国際研究
チームは、連星をなす生まれたばかりの2つの
星の自転軸が互いに傾いていることを発見しま
した。これは、大きなガスのかたまりが乱流に
よってちぎれ、それぞれの中で星が生まれたこと
を示しています。より近い位置にあった2つの星
の間隔が次第に大きくなったことで離れた連星系
が作られる、という説もありましたが、今回の観測
はこの考え方を明確に否定するものであり、連星
形成に乱流が大きな役割を果たしていることを
強く示唆しています。
https://alma-telescope.jp/news/twin_baby_stars-201707
◎太陽に似た若い星のまわりに、アミノ酸の材料を発見
アルマ望遠鏡が、非常に若い段階にある星の
まわりで、生命の材料であるイソシアン酸メチル
を発見しました。将来太陽に似た星になるで
あろう若い星のまわりでこの分子が見つかった
のは、これが初めてです。この発見は、地球の
生命がどのように発生したのかを探る手がかり
になるかもしれません。
https://alma-telescope.jp/news/methyl_isocyanate-201706
◎地球サイズの望遠鏡でブラックホール撮影に挑む
【6】超巨大電波望遠鏡の作り方
ブラックホールは強大な重力を持つ天体ですが、
地球から見るとその大きさは針でついたほどの
大きさにしか見えません。その姿を撮影するに
は、常識外れともいうべき超高解像度の望遠鏡
が必要になります。そんな望遠鏡は、どうすれば
実現できるのでしょうか?
https://alma-telescope.jp/column/bhimaging6
◎地球サイズの望遠鏡でブラックホール撮影に挑む
【7】銀河中心に潜む怪物 いて座A*
世界中の電波望遠鏡をつないで狙う第一の
ターゲットは、私たちが住む天の川銀河の中心
に潜む超巨大ブラックホール「いて座A*(エー
スター)」です。いて座A*の観測によって、
ブラックホールそのものだけでなく、この世の
時空に関する理論についても理解を深めること
ができると期待されています。しかし、わずか
20年ほど前には、いて座A*が巨大ブラック
ホールであるという確証は得られていません
でした。ここで少し歴史を紐解きながら、
いて座A*についてご紹介しましょう。
https://alma-telescope.jp/column/bhimaging7
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event
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◎7月15日(土)17:00~18:00
駿台天文講座「アルマ望遠鏡で探る星々のルーツ」
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)
会場:駿台学園中学校・高等学校(東京都北区)
http://www.sundaigakuen.ac.jp/observatory/astronomy_lecture/47th.html
◎8月26日(土)9:30~16:00
野辺山特別公開2017
場所:長野県 国立天文台野辺山
内容:ポスター展示、映像上映、受信機展示、ミニ講演会、アルマVR体験など
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2017/open2017_top.html
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afterword
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pick up!でご紹介した赤ちゃん星の観測成果、
ちょうど発表の前日に誕生した上野動物園の
パンダの赤ちゃんとともにニュースでも報じら
れました。パンダとは異なり星の誕生や成長
はあまりにゆっくりと進むため、変化していく
様子を時間とともに見ていくことができません。
そのため、研究者は、赤ちゃん、子ども、成人、
老年、とそれぞれの年代の星を観測することで
その一生を解き明かそうとしています。
pick up!のターゲットは、太陽の8倍以上という
大きな質量の原始星です。一方、7月5日に
発表したばかりの「ハンバーガー原始星」は、
太陽の2割ほどという小さな質量の原始星です。
原始星の質量によってジェットの様子が同じ
なのか、異なるのか、これは星の誕生の
メカニズム解明への重要な手がかりになるかも
しれません。今回の成果は、大質量原始星と
小質量原始星、どちらの星からも噴き出す
ジェットが回転している様子がとらえられました。
ひとつひとつの研究成果は小さいものですが、
それらをあわせると星の誕生の謎に迫ることが
できます。パンダの成長を見守るように、研究の
進捗をゆっくりと楽しんでみるのもおすすめです。
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