2017. 8. 8

【ALMAメールマガジン】土星の衛星タイタンに生物関連物質を発見

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2017年8月8日号
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今夜は「月齢16」
アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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pick up!
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◎原始地球大気を調べる手がかり:
土星の衛星タイタンにアクリロニトリルを発見

土星を回る衛星タイタンの大気は、研究者の
注目の的です。窒素とメタンやエタンなどの
炭化水素を主成分とする上に、さらに複雑な
有機分子を含むからです。国際研究チームは、
アルマ望遠鏡の観測データを丹念に調べ、
タイタンの大気にアクリロニトリルが含まれて
いることを発見しました。もしもタイタン表面の
条件が整っていれば、アクリロニトリルは細胞
膜のような微小な球体を自然に作るかもしれ
ない、と研究者たちは考えています。
https://alma-telescope.jp/news/titan_atmosphere-201707

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topics
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◎アルマ望遠鏡、遠方銀河団で進む星の
少子化の原因をとらえた

国立天文台の林将央 特任助教と東北大学大
学院の児玉忠恭教授、東京大学大学院の
河野孝太郎教授を中心とする研究チームは、
アルマ望遠鏡を用いて、地球から94億光年の
距離にある銀河団内にガスを豊富に含む銀河
を17個発見しました。およそ100億光年という
遠い距離において、ガスの豊富な銀河が一度
にこれほど多く発見されたのは、今回が初めて
のことです。
https://alma-telescope.jp/news/press/z146-201708

◎地球サイズの望遠鏡でブラックホール撮影に挑む【8】
超巨大ブラックホールの姿を描く難しさ

「ブラックホールの姿を見たい。」これは、多くの
天文学者が長年にわたって願ってきたことでした。
いま、アルマ望遠鏡をはじめとする世界中の
電波望遠鏡が協力して地球サイズの電波望遠
鏡を構成し、天の川銀河の中心にある超巨大
ブラックホール「いて座A*(エースター)」の影を
とらえようとする取り組みが進んでいます。
多くの研究者と最先端技術がこの挑戦のため
に結集していますが、ブラックホールの姿を
描き出すことは簡単なことではありません。
普通のカメラで写真を撮るように簡単に画像が
出てくるわけではないのです。
https://alma-telescope.jp/column/bhimaging8

◎書籍『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』 発売

アルマ望遠鏡の建設と初期成果を幅広くカバー
する書籍『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』
(山根一眞 著、日経BPコンサルティング 刊)が、
7月31日に発売されました。
著者の山根一眞氏は、日本の技術の現場を
数多く取材されているノンフィクション作家です。
1990年代からはじまった山根氏の取材が詰め
込まれた一冊です。
https://alma-telescope.jp/news/book_yamane-201707
http://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/17/K06180/

◎サンチャゴ日本人学校での七夕講演会
2017年7月6日、毎年恒例の七夕講演会が
サンチャゴ日本人学校で開催され、今年はチリ
観測所長の阪本成一教授が講師を務めました。
小学校1年生から中学生までと生徒の年齢には
幅がありましたが、先生方も含めて、もっと聞い
ていたかったという声が多く寄せられ、保護者の
方々からも感謝のメールが多数届きました。
https://alma-telescope.jp/news/tanabata_lecture-2017

◎アルマ望遠鏡の新所長にショーン・ドウアティ氏

2017年1月から行われていたアルマ望遠鏡の
所長選考の結果、アルマ評議会は、ショーン・
ドウアティ氏を次期所長に決定しました。
ドウアティ氏は2018年4月から5年間、アルマ
望遠鏡の運用をリードします。
https://alma-telescope.jp/news/new_director-201707

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event
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◎8月26日(土)9:30~16:00
野辺山特別公開2017
場所:長野県 国立天文台野辺山
内容:ポスター展示、映像上映、受信機展示、
 ミニ講演会、アルマVR体験など
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2017/open2017_top.html

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afterword
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アルマ望遠鏡では何が見えるのですか?
これは特に天文学以外の研究者の方から
よく聞かれる質問です。その答えは、「アルマ
望遠鏡は、色々な天体を見ることができます」
です。
今回ご紹介した2つの成果は、タイタンの大気
の物質についてと遠方銀河団についてでした。
タイタンは、土星の衛星ですから太陽系内で
地球の近くにあります。一方、遠方銀河団は
およそ94億光年と、とても遠い宇宙です。
アルマ望遠鏡は、複数のアンテナを広げたり
集めたりすることで、まるで一眼レフカメラの
ズームレンズのようにいろいろな天体を観測
することができます。
他の望遠鏡と一緒に動かせば、さらに大きな
望遠鏡として機能することができます。「地球
サイズの望遠鏡でブラックホールの撮影に挑む」
連載は今回が最終回です。これまでの連載も
読み返しつつ、謎多きブラックホールに迫る
物語をお楽しみください。

今年も、26日に開催される国立天文台野辺山の
特別公開に参加します。アルマ望遠鏡の日本の
ルーツである長野県野辺山で、最新成果の
ご紹介や標高5000mのアルマ望遠鏡を疑似体験
できるアルマVR体験などの企画をそろえてお待ち
しています。

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