活発な赤ちゃん星:B335で行われている宇宙における化学の実験
537光年先にある非常に若い星、B335は、明るさが変化する原始星です。この原始星を観測したところ、星が生まれるときの化学物質…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年5月21日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎巨大原始星の周りにアルミニウムを含む分子を発見 ~惑星材料の起源の理解へ~
東京大学/宇宙航空研究開発機構(JAXA)の橘省吾教授らの研究グループは、オリオン大星雲の中の巨大原始星「オリオンKL電波源I」から回転しながら吹き出すガスの流れ(アウトフロー)の根元付近に一酸化アルミニウム分子が存在することを、アルマ望遠鏡の観測データから明らかにしました。
地球で発見される隕石の研究から、太陽系最古の物質はアルミニウムやカルシウムを含む鉱物でできていることが知られています。本研究の結果をきっかけに、今後原始星周囲での金属を含む分子の分布を明らかにすることで、太陽系最初期に惑星の材料となった鉱物がどのようにつくられたのかを理解することに繋がると期待されます。
https://alma-telescope.jp/news/press/orion-201904
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Topics
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◎科学観測サイクル7向け観測提案準備会合を開催
2019年4月2日、国立天文台三鷹キャンパスでアルマ望遠鏡科学観測サイクル7向けの観測提案準備会合が
開催されました。三鷹での参加者は22名で、インターネット中継を使って遠隔地の研究者も参加しました。
アルマ望遠鏡は、毎年10月から翌年9月末までをひとつの「サイクル」として科学観測を実行しています。2019年10月から開始されるのは「サイクル7」です。
各サイクルで実施される観測プログラムは、毎年春の観測提案募集期間に提出された観測提案書の審査によって決まります。今年の締切は4月17日で、アルマ望遠鏡の使用を希望する研究者は、この締切に向けてそれぞれの観測提案書を練り上げました。
https://alma-telescope.jp/news/cy7meeting-201904
◎チリ議会上院、初のブラックホール撮影成功に対し、アルマ観測所チームを表彰
チリの議会上院は、イベント・ホライズン・テレスコープによって発表されたブラックホール初撮影の功績をたたえ、2019年4月17日の議会にアルマ観測所の代表者らを招きました。ブラックホール観測に深く関わったアルマチームの科学者アレハンドロ・セーズ氏、ヴィオレッテ・インペリツェリ氏、ヒューゴ・メシアス氏、ルーベン・ヘレロ・イラナ氏、廣田晶彦氏らの功績が高く評価されました。
合同アルマ観測所の一員として今回のプロジェクトに携わった廣田晶彦国立天文台チリ観測所助教は、
「アルマアンテナの出力を合成して、アルマを仮想的な一つの巨大アンテナとしてVLBI観測に参加させるALMA Phasing Projectにおいて、主に観測ソフトウェア開発を担当という形で参加しました。数多くの研究者と技術者が一つの目標のもと、それぞれの専門性を持ち寄って得られた今回の結果に微力ながら貢献できたことを嬉しく思うとともに感謝します。」と語っています。
https://alma-telescope.jp/news/senate-201905
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Afterword
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今回のpick up!では、巨大原始星の周りに一酸化アルミニウムを発見!という話題をお届けしました。
「一酸化アルミニウム」と聞いてピンと来なかった方も多いかもしれません。それもそのはず、地球上ではあまり馴染みのない組成なのです。私たちに身近なアルミニウムといえば、1円玉の純アルミニウム(Al)、陶器などのセラミックに使われる酸化アルミニウム(Al2O3)、飛行機やロケットの材料になるアルミニウム合金などがあります。では、今回発見された「一酸化アルミニウム(AlO)」って一体何なの?
じつは、宇宙ならではの組成なのです。地球上では別の原子や分子と出会いやすいので、安定するためにすぐにくっついたり離れたりします。しかし、宇宙はとっても希薄な世界。別の原子や分子と出会う機会が少ないので、不安定な状態でもそのまま存在できるのです。言いかえれば、宇宙には、地球では考えられない組成がたくさんあるということ。これは、電波で宇宙を探るおもしろさでもあります。今後どんな発見が続くのか、楽しみです。
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