2019. 6. 19

【ALMAメールマガジン】アルマ望遠鏡、観測史上最遠の合体銀河の証拠をとらえた

=======================================
国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年6月19日号

=======================================
今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。


――――――
Pick up!
――――――

◎アルマ望遠鏡、観測史上最遠の合体銀河の証拠をとらえた

早稲田大学の橋本拓也研究員(日本学術振興会特別研究員)らの研究チームは、アルマ望遠鏡を使って遠方天体B14-65666を観測し、酸素、炭素、塵が放つ電波を検出することに成功しました。この天体までの距離は131億光年と見積もられており、これほど遠くで酸素、炭素、塵がそろって検出されたのはこれが初めてのことです。ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、この天体のなかにはふたつの星の集団があることがわかっており、アルマ望遠鏡でも、酸素、炭素、塵がふたつの塊に分かれていることがわかりました。
研究チームは、アルマ望遠鏡を使ったガスの速度の測定結果も併せ、同程度の大きさを持つふたつの銀河が今まさに合体しつつあるところを見ていると結論付けました。これは、合体銀河として観測史上最遠のものです。B14-65666では、天の川銀河の100倍のペースで星が生み出されており、合体によって銀河のガスが圧縮されたことで爆発的な星形成が進んでいると考えられます。宇宙誕生後10億年に満たない時代での活発な星の誕生と合体による銀河の進化をとらえた、重要な観測成果といえます。
https://alma-telescope.jp/news/press/merger-201906


――――――
Topics
――――――

◎日本地球惑星科学連合2019年大会 アルマ望遠鏡ブースに500名来場

2019年5月26日(日)~30日(木)の5日間、千葉県千葉市の幕張メッセにて「日本地球惑星科学連合2019年大会」が開催されました。この大会は、宇宙惑星科学、大気水圏科学、地球人間圏科学、固体地球科学、地球生命科学を幅広くカバーする国際学会です。
アルマ望遠鏡の展示ブースでは、史上初のブラックホール観測、惑星誕生、アストロバイオロジーなどの成果を中心にご紹介しました。高校生、大学生、大学院生、企業や研究機関の研究者など、たくさんの方が足を運んでくださいました。
今年はブラックホール観測のニュースを受けて「世界の望遠鏡をつなぐとは、どういうこと?」などの質問が寄せられました。世界の望遠鏡をつなぐ、つまり、「複数のアンテナを組み合わせて観測する」という手法が多くの方に知られるようになりました。ブースでは、アルマ望遠鏡自体もこの仕組みを使って観測していること、ブラックホール以外にもさまざまな観測成果をあげていることなどを来場者にご紹介しました。
https://alma-telescope.jp/news/jpgu-201906


――――――
Afterword
――――――

今回のpick up!では、アルマ望遠鏡、観測史上最遠の合体銀河の証拠をとらえた!という話題をお届けしました。この国際研究チームのリーダーをつとめる橋本研究員は、遠方銀河に興味を持ったきっかけについて次のように話しています。

「小学生の頃に見た銀河の図鑑が始まりです。こんなにきれいなものがあるのかと感動し、漠然と天文学者になりたいと思いました。それで天体望遠鏡を買って実際に星を見たら、写真みたいにきれいじゃない(笑)。でもその図鑑で、宇宙は大きく、遠くにも銀河があることを知り、遠くの銀河、つまり過去の宇宙を解き明かしてみたいと思いました。」(Natureダイジェスト Vol.15 No.10より抜粋)

橋本研究員らの研究チームは、遠方銀河の観測で目覚ましい成果を上げています。遠くの銀河で酸素を見つけ、それによって銀河の性質を調べるという試みは、このチームが切り開いてきた新しい研究方法。アルマ望遠鏡とタッグを組み、今まさに世界をリードしています。


――――――――――――――☆―
In Search of Our Cosmic Origins
□ Twitter
http://twitter.com/ALMA_Japan
□ お問い合わせ
https://alma-telescope.jp/contact
□ メールマガジン登録/解除
https://alma-telescope.jp/mailmagazine
―――――――――――――――――

自然科学研究機構 国立天文台 アルマプロジェクト
Copyright(C) 2019 Atacama Large
Millimeter/submillimeter Array (ALMA), NAOJ.
All rights reserved.

NEW ARTICLES