アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2023年9月30日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◆分子の多様性から見る銀河進化-超巨大ブラックホールが抑制する新たな星の誕生
国立天文台の斉藤俊貴特任助教と名古屋大学の中島拓助教らの国際研究チームは、
アルマ望遠鏡を用いて、くじら座方向にある活動銀河核「NGC 1068(M77)」の中心領域に対し、
波長3 mm帯で星間分子ガスの二次元分布を網羅的に観測する「イメージング・ラインサーベイ」を実施しました。
活動銀河核の化学特性を調べ、それがどのような物理状態を反映したものであるのかを機械学習を利用して解析した結果、
超巨大ブラックホールから双極に噴き出すジェットに起因すると思われる分子ガスのアウトフローを発見しました。
これは、ジェットが銀河円盤に衝突したことによって衝撃波領域を生じ、
周囲の物質が高温に加熱されている様子が見えていることを示唆しています。この銀河の中心付近では、
激しいジェットの作用により星の素となる分子の破壊や組成の変化が起きており、
新たな星の誕生が抑制されている可能性があると考えられます。
https://alma-telescope.jp/news/ngc1068-202309
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Topics
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◆アルマ望遠鏡の開発に関する学会発表において、エレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞を受賞
先端技術センターの増井翔研究員(発表当時、同センター特別共同利用研究員および大阪府立大学 博士後期課程3年)が、
2023年電子情報通信学会(IEICE)ソサイエティ大会にてエレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞を受賞しました。
エレクトロニクスソサエティ学生奨励賞は、エレクトロニクス分野に関する優秀な発表を行った学生に対して贈られる賞です。
https://alma-telescope.jp/news/masui-202309
◆ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡の最強タッグで、 最遠方の原始銀河団を捉えることに成功
日本の橋本拓也助教(筑波大学)とスペインのJavier Alvarez-Marquez研究員(スペイン宇宙生物学センター)を中心とする
国際研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡を使った観測により、最も遠い131.4億光年かなたにある
原始銀河団の中でも、とくに銀河が密集している大都市圏に相当する「コア領域」を捉えることに成功しました。
多くの銀河が狭い領域に集まることで、銀河の成長が急速に進んでいることが明らかになりました。さらに研究チームは
シミュレーションを活用して大都市圏の姿の将来予想をしたところ、数千万年以内には大都市圏が1つのより大きな
銀河になることを明らかにしました。銀河の生まれと育ちに関わる重要な手がかりとなることが期待されます。
https://alma-telescope.jp/news/mdgprotocluster-202309
◆アルマ望遠鏡でダークマターの小規模なゆらぎを初検出 ~ダークマターの正体解明へ重要な一歩~
近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)教授 井上開輝、東京大学大学院理学系研究科 特任教授 峰崎岳夫、
中央研究院天文及天文物理研究所(台湾) 研究員 松下聡樹、国立天文台 特任准教授 中西康一郎からなる研究チームは、
アルマ望遠鏡を用いた天体観測により、宇宙空間に漂う
ダークマターのむらむら(空間的なゆらぎ)を 約3 万光年というスケールにおいて検出することに初めて成功しました。
この結果は、従来の観測に比べ約 10 分の 1 以下という小さなスケールにおいても「冷たいダークマター」
が支持されることを示しており、ダークマターの正体を解明するための重要な一歩と言えます。
https://alma-telescope.jp/news/press/darkmatter-202309
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Afterword
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Topics で取り上げられた
◆ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡の最強タッグで、
最遠方の原始銀河団を捉えることに成功
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡を使った観測により、
最も遠い131.4億光年かなたにある原始銀河団の中で、
特に多くの銀河が狭い領域に集まって、銀河の成長が急速に進んでいる
様子を明らかにしました。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線で宇宙を見る望遠鏡、
アルマ望遠鏡は電波で宇宙を見る望遠鏡です。
私たちの目で見ることができる光(可視光)の仲間(電磁波)
なのですが、比較すると、赤外線は可視光よりも波長の長い光
(エネルギーの低い光)であり、電波は更に波長の長い光となります。
同じ天体を異なる波長の光で観測することは大変重要で、
一方の波長の光では見ることができないものが、
他の波長の光でみることで明らかになり、
新たな知見を得ることができます。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は現在最も解像度が高い(視力が良い)
赤外線の望遠鏡で、アルマ望遠鏡は現在最も解像度が高い電波望遠鏡ですので、
最強のタッグという言い方ができます。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられたのは2021年の年末。
今後、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡のタッグで
多くの重要な観測が行われるものと期待されます。
一方、1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は
紫外線(可視光よりも波長が短い)、可視光、赤外線の望遠鏡となります。
今までにハッブル宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡
を用いて様々な観測成果が得られています。
よろしければ以下のURLからご覧下さい。
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で迫る宇宙初期の巨大天体ヒミコ
https://alma-telescope.jp/news/press/mt-post_519
銀河の形を運命づけた110億年前の転換現象
~すばる×ハッブル×アルマの最強タッグで完全解剖~
https://alma-telescope.jp/news/press/galactic_metamorphosis-201709
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