134億年前の生まれたての銀河の知られざる性質
国立天文台のJorge Zavala特任助教が率いる国際チームは、134億光年先の生まれたての銀河の中で水素原子や酸素原子が放った輝線…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2024年9月19日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◆宇宙の夜明けに踊るモンスターブラックホールの祖先
これまでの観測から、宇宙年齢が10億歳以下の初期宇宙においても、
太陽の10億倍を超えるような質量の超巨大ブラックホールが多数発見されています。
これらの天体は、ブラックホールに飲み込まれる大量の星間物質が時に銀河を上回るほど明るく輝き、
(高光度)クエーサーと呼ばれています。また、クエーサーを宿す銀河はしばしば
爆発的に星を形成している(毎年太陽数百~数千個分)ことも知られています。
こうした超巨大ブラックホール成長や爆発的星形成活動は、
いったい何が引き起こし、何が維持しているのでしょうか?
https://alma-telescope.jp/news/press/monsterbh-202408
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Topics
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◆東アジア天文学の未来を育む:アルマ サイエンス・データ解析ワークショップ
2024年の東アジア・アルマ サイエンスワークショップ(7月22日~24日)
およびデータ解析ワークショップ(7月25日~26日)が、ソウル国立大学で開催されました。
毎年行われるサイエンスワークショップは、日本、台湾、韓国の共同で開催され、
アルマ望遠鏡で得られた最新の科学的発見を共有し、東アジアにおける研究パートナーシップを
促進するための機会を提供しています。今年も約100名の参加者を迎え、
主に若手研究者による様々な科学的成果や発見が発表されました。さらに、
昨年がアルマ望遠鏡の開所式から10周年であったことを記念し、東アジアにおける協力の歴史も振り返られました。
https://alma-telescope.jp/news/eaasw-202409
◆水野教授が令和6年度外務大臣表彰を受賞
国立天文台チリ観測所副所長を務める、アルマプロジェクトの水野範和(みずの のりかず)教授が
令和6年度外務大臣表彰を受賞しました。
https://alma-telescope.jp/news/award-21082024
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Events
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◆電波天文学講演会2024 電波望遠鏡で探る「激しい宇宙」と「冷たい宇宙」
【日時】
10月5日(土) 19:00-20:30
【場所】
倉敷科学センター プラネタリウム
【対象】
小学生以上(小学生は保護者同伴)
【定員】
160名(先着順)
【講師】
平松 正顕 氏(国立天文台 講師)
【参加料】
無料
【参加受付中】
※参加申し込みはお電話で(086-454-0300)。定員に達ししだいしめきり
【講演の概要】
宇宙には、ブラックホールをはじめとする激しく活動する天体もあれば、
星々の間にただようガスのような冷たい物質もあります。宇宙がどのように進化し、
どのような姿をしているかを理解するためには、その両方を調べることが必要です。
宇宙からやってくるかすかな電波を捉えて宇宙の謎に挑む電波望遠鏡は、ブラックホールの姿を撮影し、
ビッグバンの証拠をキャッチし、冷たいガスの奥深くで星や惑星が生まれてくる様子を目撃してきました。
今回の講演では、電波望遠鏡が明らかにしてきたいろいろな宇宙の姿と、
今まさに研究者たちが立ち向かう宇宙の謎についてご紹介します。
【詳細】
https://kurakagaku.jp/release/241005_ksc_release.html
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Afterword
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Pick up! で取り上げられた
◆宇宙の夜明けに踊るモンスターブラックホールの祖先
およそ128億光年彼方、すなわち宇宙年齢がまだ9億歳の「宇宙の夜明け」
と呼ばれる時代において低光度な中心部を持つ銀河が
2つ隣り合って並んでいる領域をアルマ望遠鏡で詳しく調べました。
特に銀河の構造・動き・銀河に含まれる物質の量といった様々な特徴を明らかにしました。
2つの銀河に含まれる物質のひろがりや動きの様子からこれらの銀河同士が
お互いに引き付けあっていることも分かりました。
又、観測データから計算したこれらの銀河に含まれる
ガス全体の重さは莫大なものになります。
莫大なガスが含まれるので、合体した後銀河の中で星が爆発的に形成され、
中心部にできる超巨大ブラックホールへの燃料補給も
容易にまかなえることが予想されます。
中心に初期宇宙で最も明るい天体種族である高光度クエーサー(銀河中心核)を持つ、
爆発的星形成銀河の祖先を同定した重要成果となります。
アルマ望遠鏡の観測成果には、この様にビッグバン後間もない
「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代に関する様々な観測成果もあります。
アルマ望遠鏡による「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代に関する
観測成果の記事を紹介させていただきます。
よろしければ以下のURLからご覧下さい。
2018.05.17
アルマ望遠鏡、132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見
― 酸素の最遠方検出記録をさらに更新
https://alma-telescope.jp/news/press/oxygen-201803
2019.12.16
宇宙初期に予想外の巨大炭素ガス雲を発見
-アルマ望遠鏡がとらえた宇宙最初の環境汚染-
https://alma-telescope.jp/news/press/carbon-201912
2019.09.10
135億年前の星形成の痕跡を発見!
~最遠の「老けた銀河」探査~
https://alma-telescope.jp/news/press/cosmos-201909
2024.02.01
129億光年かなたのクェーサーから強烈に噴き出す分子ガスの発見
~宇宙初期の銀河成長を抑制するメカニズムの解明へ~
https://alma-telescope.jp/news/quasaroutflow-202401
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