2016. 9. 17

【ALMAメールマガジン】巨大氷惑星の形成現場を捉えた

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2016年 9月17日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎巨大氷惑星の形成現場を捉えた -アルマ望遠鏡で見つけた海王星サイズの惑星形成の証拠
近年、太陽以外の星のまわりにも、多様性に富む数多くの惑星が発見
されてきました。しかしそれらの形成過程は謎のままであり、天王星・
海王星のような巨大氷惑星の形成過程も、いまだによく分かっていません。
茨城大学の塚越崇 助教を中心とする研究チームは、若い星うみへび座
TW星を取り巻く円盤をアルマ望遠鏡で捉え、円盤のようすを詳しく描き
出すことに成功しました。円盤には何本かの暗い隙間が刻まれており、
特に半径22天文単位の隙間では、周囲に比べて小さな塵が豊富に存在する
ことがわかりました。理論的研究から、円盤内に惑星が存在するとこうした
特徴が現れることが提唱されており、今回の観測成果はこの理論予測と
合致します。隙間の特徴を考慮すると、ここには海王星程度の大きさ
の惑星ができていると考えられます。この発見により、どんな大きさの
惑星が、どこでいつごろ作られるかが明らかにできると期待されます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201609148022.html
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topics
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◎アルマ望遠鏡科学観測サイクル4 観測提案審査が完了
2016年10月から開始されるアルマ望遠鏡科学観測サイクル4に向け
た観測提案の審査が終了し、研究者に結果が通知されました。多く
の国から記録的な数の観測提案が提出され、要求観測時間の合計は
サイクル3からさらに50%増加しました。これは、アルマ望遠鏡が
世界中の天文学者コミュニティに注目されている証です。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/08244_9.html
◎「X線が検出された最遠の銀河団」の特定にアルマ望遠鏡が貢献
CL J1001+0220は、ハッブル宇宙望遠鏡で発見された銀河の集まりです。
見かけ上集まっているだけなのか、実際に近くにあって「銀河団」を
構成しているのか、分かっていませんでした。米国と欧州ののX線宇宙
望遠鏡チャンドラとXMM-Newtonによる観測で、この集団を取り囲む
巨大なX線放射が検出されました。またアルマ望遠鏡と米国の電波
干渉計JVLA 、欧州南天天文台の光学赤外線望遠鏡VLTなどによる観測
からCL J1001+0220に含まれる銀河までの距離が測定され、これらの
銀河がほぼ同じ距離にあり、実際に銀河団を構成していることが
わかりました。この銀河団までの距離は、112億光年です。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0831x.html
◎銀河系外ホットコアを初検出!-生まれたばかりの星を包む暖かい分子の雲
東北大学などからなる研究チームは、アルマ望遠鏡を用いた観測により、
世界で初めて、私たちの住む天の川銀河以外の銀河に、生まれたばかりの
星を包むホットコアと呼ばれる分子の雲を発見しました。また、発見した
銀河系外ホットコアのデータを詳細に解析した結果、天体に付随する分子
ガスの化学組成が、天の川銀河内の同種の天体のものと比べて、大きく
異なることを明らかにしました。この結果は、生まれたばかりの星を包む
物質の化学的性質が、それらを取り巻く銀河の個性に強い影響を受ける
ことを示しています。今回の銀河系外ホットコアの初検出は、星や惑星の
材料となる物質の化学的性質の研究に新たな可能性を示す重要な第一歩と
して、大きな注目を集めています。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201609058018.html
◎野辺山特別公開2016
毎年夏に開催される国立天文台野辺山宇宙電波観測所の特別公開が、
今年も8月27日に開催されました。開始直後からあいにくの雨模様で
したが、1600人を超える来場者で展示エリアは活気に満ちていました。
ポスターによる最新成果紹介やジオラマ・受信機展示に加え、VRゴーグル
を使ったアルマ望遠鏡施設疑似体験も、大変好評でした。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/09152016_1.html
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event
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◎10月10日(月・祝)12:45 – 14:00
明石市立天文科学館 特別天文講座「ALMAのお話」
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所助教)
会場:明石市立天文科学館(兵庫県明石市)
定員:300名、当日整理券制
詳細:http://www.am12.jp/event/other/other_h28/tenmonkoza.html
◎11月26日(土)13:30~16:45
国立天文台講演会/第22回アルマ望遠鏡公開講演会
「アルマ望遠鏡で探る星と惑星の誕生」
講師:立松健一(国立天文台チリ観測所 教授)
   立原研悟(名古屋大学 准教授)
   深川美里(名古屋大学 准教授)
会場:名古屋市科学館サイエンスホール(愛知県名古屋市)
定員:320名、事前申込制(申し込み多数の場合は抽選)
申込締切:10月31日(月)正午
主催:自然科学研究機構国立天文台
共催:名古屋市科学館
詳細・申し込み:http://www.nao.ac.jp/news/notice/2016/20160915-alma.html
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afterword
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今回のメールマガジンでも、たくさんの研究成果をご紹介しました。
175光年先で惑星が生まれている現場から、112億光年彼方の銀河団
まで。アルマ望遠鏡は様々な天体を研究対象とすることができ、その
高い性能でこれまで知られていなかった天体の新しい姿を次々と
明らかにしています。
アルマ望遠鏡を使った研究のほとんどは、世界中の研究者からの観測
提案に基づいて行われます。アルマ望遠鏡プロジェクトとして一つの
研究を進めるのではなく、研究者個人(あるいはチーム)の興味が
研究のスタートというわけです。アルマ望遠鏡では1年間を1つの
「サイクル」とし、各サイクルごとに観測提案を募集・審査して実行
する観測を決めています。来月から開始の「サイクル4」の実行課題も
決定し、さらにいろいろな成果が出てくることでしょう。ご期待ください。
さて前回のメールマガジンでお知らせしたアルマ望遠鏡公開講演会は、
イベント情報でご紹介したとおり、11月26日(土)に名古屋市
科学館で開催します。今回は、アルマ望遠鏡によって大きく研究が
進みつつある星と惑星の誕生にテーマを絞り、アルマ望遠鏡全体の
紹介やチリ現地での天文学者たちの仕事の様子なども含めて講演を
組み立てました。ぜひご参加ください。インターネットでの中継も
現在検討中です。確定しましたら改めてお知らせします。
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自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所
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