2014. 11. 9

【ALMA Mail Magazine】 2014年11月9日号 アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!―史上最高解像度で惑星誕生の現場の撮影に成功

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2014年11月9日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array
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――― 国立天文台アルマ望遠鏡に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月「月齢16」の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台のフラッグシップ望遠鏡のひとつ、アルマ望遠鏡に関する
最新情報をお知らせします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報
 10月24日 アルマ望遠鏡、タイタンの大気中で有機分子の偏りを発見
 10月30日 惑星誕生のためのライフライン―アルマ望遠鏡、連星系での惑星形成を示唆
アルマ通信
 10月25日 三鷹・星と宇宙の日2014開催
 11月 4日 東京都内3カ所でのアルマ望遠鏡関連展示
PICK UP!
 11月 6日 アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!―史上最高解像度で惑星誕生の現場の撮
影に成功
イベント情報
 10月24日~2015年2月1日 21_21 DESIGN SIGHT「活動のデザイン展」
 10月28日~2015年2月22日 国立科学博物館「ヒカリ展」
 11月 1日~24日 コニカミノルタプラザ特別企画展
  「宇宙に挑む人類の”眼” アルマ望遠鏡プロジェクト展」
 12月 7日 国立天文台講演会
  『クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ』
 12月20日 愛媛大学宇宙進化研究センター講演会
  「アルマ望遠鏡,ついに始動!―アルマによって明らかにされる宇宙―」
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 ■ 最新情報 ■
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◎ 10月24日 アルマ望遠鏡、タイタンの大気中で有機分子の偏りを発見
アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターのマーティン・コーディナー
氏が率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡で土星の衛星タイタンを観測し、その大
気の中で有機分子が大きく偏って分布していることを発見しました。タイタンの大気
中には強い風が吹いているため、こうした分布の偏りはすぐに拡散してしまうと考え
られてきましたが、今回の発見はそうした従来の考えを覆す成果と言えます。今回の
発見は、わずか3分という極めて短い時間の観測で得られたものですが、この世界で
起きる複雑な化学反応の過程を理解する糸口になることでしょう。
[最新情報] アルマ望遠鏡、タイタンの大気中で有機分子の偏りを発見
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/1024post_569.html
◎ 10月30日 惑星誕生のためのライフライン―アルマ望遠鏡、連星系での惑星
形成を示唆
アルマ望遠鏡による観測で、若い連星系を取り囲む環から内側に流れ込むガスの
流れが発見されました。連星を成す片側の星のまわりには小さな環があり、その環が
今回発見されたガスの流れによってその質量を維持されていることがわかりました。
天の川銀河にある星のうちの半分以上は連星を成すことが知られており、連星系に
おける惑星形成メカニズムに迫る今回の研究は、太陽系外惑星の探査にも大きく
影響する成果です。
[最新情報] 惑星誕生のためのライフライン ―アルマ望遠鏡、連星系での惑星形成を示唆
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/1030post_570.html
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 ■ アルマ通信 ■
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◎ 10月25日 三鷹・星と宇宙の日2014開催
10月25日、国立天文台三鷹地区の特別公開である『三鷹・星と宇宙の日2014』が
開催されました。アルマ望遠鏡プロジェクトでは、プロジェクトの最新情報や最新の
成果、現在のチリの様子などをポスターパネル、ジオラマ、映像、ミニ講演などで
ご紹介しました。チリ・アルマ望遠鏡山麓施設とインターネット電話でつないで現地
の様子をご紹介したほか、VRゴーグル Oculus Riftを用いてアルマ望遠鏡山頂施設・
山麓施設の様子を体感いただく企画も行い、日常とはかけ離れた空間の驚きの体験に
歓声を上げる方もいらっしゃいました。
[アルマ通信] 三鷹・星と宇宙の日2014開催
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/10292014_3.html
◎ 11月 4日 東京都内3カ所でのアルマ望遠鏡関連展示
アルマ望遠鏡に関連する展示企画が、東京都内の3か所で開催中です。
六本木の21_21 DESIGN SIGHT 『活動のデザイン展』では、アルマ望遠鏡が観測した
ちょうこくしつ座R星の画像をオルゴールと映像に変換したインスタレーション作品
『ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律』を展示中です。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/musicbox/
また新宿のコニカミノルタプラザではアルマ望遠鏡の全容をパネルでご紹介する
『宇宙に挑む人類の”眼” アルマ望遠鏡プロジェクト展』が開催中です。さらに国立
科学博物館では光(電磁波)をテーマにした『ヒカリ展』が開催されており、アルマ
望遠鏡アンテナ模型や受信機が展示されています。
[アルマ通信] 東京都内3カ所でのアルマ望遠鏡関連展示
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/1104post_573.html
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 ■ PICK UP! ■
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◎ 11月 6日 アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!―史上最高解像度で惑星
誕生の現場の撮影に成功
アルマ望遠鏡が、今後天文学の様々な分野において革命をもたらすことを予期
させる、画期的な画像の撮影に成功しました。若い星おうし座HL星を取り囲む
塵の円盤を「視力2000」に相当する史上最高の解像度で写し出したのです。惑
星誕生の現場である塵の円盤がこれほどの高解像度で撮影されたのは、今回が
初めてのことです。アルマ望遠鏡によって超高解像度撮影が可能となり、惑星
の誕生・成長過程の理解が飛躍的に進むと期待できます。多くの天文学者が抱
いてきた長年の夢がついに結実したのです。
今回得られた画像では、おうし座HL星のまわりの塵の円盤の中に何本ものの間隙
があり、円盤がいくつもの同心円状の環に分かれていることがはっきりと写し出
されています。この間隙は、円盤の中で惑星ができていることを示していると考
えられますが、誕生して100万年に満たないほど若い星のまわりですでに惑星が
できていることは、どんな理論でも想定されていませんでした。ハッブル宇宙望
遠鏡を持ってしても撮影ができない「惑星が作られるまさにその現場」をアルマ
望遠鏡が超高解像度で写し出したことで、惑星形成の研究の流れに大きな変革が
起きることでしょう。
[最新情報] アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!―史上最高解像度で惑星
誕生の現場の撮影に成功
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/11062000_1.html
[プレスリリース] アルマ望遠鏡、「視力2000」を達成!―史上最高解像度で
惑星誕生の現場の撮影に成功
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201411067466.html
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 ■ イベント情報 ■
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◎ 10月24日~2015年2月1日 21_21 DESIGN SIGHT「活動のデザイン展」
場所:21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)
内容:アルマ望遠鏡で取得したデータを音楽に変換した作品を展示
[詳細] 活動のデザイン展
http://www.2121designsight.jp/program/fab_mind/
◎ 10月28日~2015年2月22日 国立科学博物館「ヒカリ展」
場所:国立科学博物館(東京都台東区)
内容:アルマ望遠鏡アンテナ模型・受信機の展示など
[詳細] 特別展「ヒカリ展―光のふしぎ、未知の輝きに迫る!」
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2014/hikari/index.html
◎ 11月1日~24日 コニカミノルタプラザ特別企画展
「宇宙に挑む人類の”眼” アルマ望遠鏡プロジェクト展」
場所:コニカミノルタプラザ(東京都新宿区)
内容:アルマ望遠鏡写真パネル、アンテナ模型、映像展示
[詳細] 「宇宙に挑む人類の”眼”アルマ望遠鏡プロジェクト展」
http://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2014november/alma/index.html
◎ 12月7日 国立天文台講演会
『クール・ユニバース~アルマ望遠鏡でたどる私たちのルーツ』
講演者:
 長谷川哲夫(国立天文台チリ観測所長、国立天文台教授)
 エヴィン・ヴァン・ディショック(ライデン大学/マックスプランク地球外
物理学研究所教授)
 福井康雄(名古屋大学教授)
時間:13:30~17:00
会場:東京国際交流館プラザ平成 国際交流会議場(東京都江東区青海)
参加費:無料
定員:400名(事前申込制、先着順)
[詳細] Revolution in Astronomy with ALMA – The 3rd Year –
http://www.almasc2014.jp/public.html
◎ 12月20日 愛媛大学宇宙進化研究センター講演会
「アルマ望遠鏡,ついに始動!―アルマによって明らかにされる宇宙―」
講演者:井口 聖(国立天文台電波研究部主任・国立天文台チリ観測所教授)
時間:14:00~15:30
会場:愛媛大学南加記念ホール
対象:どなたでもご参加いただけます。(参加費無料・事前申込不要)
[詳細] 愛媛大学
http://www.ehime-u.ac.jp/news_topics/detail.html?new_rec=12207
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 ■ あとがき ■
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11月のメールマガジンをお送りしました。今回の注目の話題は、何と言っても
視力2000に相当する超高解像度で捉えたおうし座HL星です。この画像を初めて
見た時には、「こんなに見えるものなのか!」と驚き、同時に興奮しました。
もちろん「惑星誕生の現場を見る」というのはアルマ望遠鏡を開発する際の
大きな目標の一つでしたので、その目標が着実に達成された結果ではあるの
ですが、予想外の構造(円盤に刻まれた惑星による間隙)が見えていたりして
まさに百聞は一見に如かず、という印象でした。天文学の姿を大きく変える、
アルマ望遠鏡がいよいよ『本気』を見せ始めたというところでしょうか。この
解像度で他の原始惑星系を見たらどうなるのか、あるいは超遠方の銀河を見た
らどんな構造が見えるのか。世界中の、天文学の様々な分野の研究者が、この
画像を見て今この瞬間も思いを巡らせていることでしょう。次の観測シーズン
での観測時間の獲得は、さらに熾烈な争いになるかもしれません。そして、そう
した競争の中で、今後も素晴らしい成果が続々と生み出されてくるはずです。
広報担当としても、今回のおうし座HL星のような画期的な成果が出てくるのを
ワクワクしながら待っています。随時アルマ望遠鏡ウェブサイトでお伝えして
いきますので、今後もぜひアルマ望遠鏡の成果にご注目ください。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
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