2014. 4. 16

【ALMA Mail Magazine】 2014年4月16日号 ~映像「史上最高のアンテナを作る ~アルマアンテナ 架台部篇~」を公開

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2014年4月16日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array < http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/ >
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――― 国立天文台アルマ望遠鏡に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月「月齢16」の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台のフラッグシップ望遠鏡のひとつ、アルマ望遠鏡に関する
最新情報をお知らせします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
アルマ通信
  3月19日 データ解析パイプライン開発会議
  3月26日 日本天文学会2014年春季年会でのアルマ望遠鏡関連セッション
  4月 8日 バンド10受信機チーム 小嶋崇文氏が日本天文学会研究奨励賞を受賞
PICK UP!
  4月11日  映像「史上最高のアンテナを作る ~アルマアンテナ 架台部篇~」を
公開
イベント情報
 12月7日~5月6日 日本科学未来館 THE世界一展
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 ■ アルマ通信 ■
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◎ 3月19日 データ解析パイプライン開発会議
3月10日から14日まで、国立天文台三鷹キャンパスALMA棟にてアルマ望遠鏡のデータ
解析パイプライン開発に関する国際会議が開催されました。日米欧から天文学者とソ
フトウェアエンジニアが集まり、パイプラインの開発状況や今後の開発について議論
しました。
アルマ望遠鏡で研究を行う場合、観測されたデータはまず合同アルマ観測所や東アジ
ア・北米・欧州のアルマ地域センターのスタッフによって解析され、研究者が求める
質のデータになっているかどうか確認がなされます。こうした「品質保証」を経てデー
タが研究者に渡されるため、研究者はスムーズに研究を進めることができます。一方、
ますます増大するアルマ望遠鏡観測データを速やかに解析するために、自動的にデー
タを処理する解析パイプラインソフトウェアの開発も行われています。
パイプラインの開発は順調に進んでおり、早ければ今年の中ごろにはこのシステムを
使った自動処理が部分的に開始される見込みです。
[アルマ通信] データ解析パイプライン開発会議
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/0319post_535.html
◎ 3月26日 日本天文学会2014年春季年会でのアルマ望遠鏡関連セッション
3月19日から22日まで、国際基督教大学(東京都三鷹市)にて日本天文学会2014年春
季年会が開催されました。この期間中にはアルマ望遠鏡に関連する2つのセッション
が企画されました。
3月19日には、特別セッション「ALMAアーカイブデータが切り拓く天文学」が開催さ
れ、およそ200人の研究者が参加しました。アルマ望遠鏡を用いて観測を行うために
は観測提案書を提出し、厳しい審査を勝ち抜く必要がありますが、こうして得られた
データは提案者に届けられた1年後には公開データアーカイブに登録され、全世界の
誰でもデータをダウンロードして研究に使うことが可能になります。今回の特別セッ
ションでは、アーカイブデータを用いて行われた研究内容や、効果的なアーカイブデー
タの使い方、アーカイブシステムの使い方などが、順を追って紹介されました。
3月21日と22日には、東アジア合同企画セッション「ALMAの初期科学成果」が開催さ
れました。日本だけでなく台湾や韓国、イギリスの研究者も参加し、アルマ望遠鏡初
期科学観測で得られた様々な成果が発表されました。既にプレスリリースで発表した
成果も含まれますが、いずれも既存の電波望遠鏡では得ることのできない高品質なデー
タをもとにした研究成果であり、研究者は発表に聞き入り、活発な議論をしていまし
た。
[アルマ通信] 日本天文学会2014年春季年会でのアルマ望遠鏡関連セッション
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/03262014.html
◎ 4月 8日 バンド10受信機チーム 小嶋崇文氏が日本天文学会研究奨励賞を受賞
アルマ望遠鏡バンド10受信機開発チームの小嶋崇文 国立天文台先端技術センター助
教が、2013年度日本天文学会研究奨励賞を受賞しました。受賞対象となった研究テー
マは「ALMA Band 10 低雑音SIS ミキサの研究開発」です。
バンド10受信機は、アルマ望遠鏡が観測する電波のうち最も周波数の高い電波(787
~950GHz)を受信する受信機で、日本が開発・量産を分担しました。高周波の電波受
信機の心臓部は超伝導技術を用いた「SISミキサ」ですが、バンド10受信機ではその
高い周波数のため、これまでSISミキサに使われてきたニオブという物質では十分な
性能が出せませんでした。このため開発チームは窒化ニオブチタンという合金を超伝
導材料として使うことで、世界最高性能の受信機の開発に成功しました。
小嶋氏は大学院時代からバンド10受信機の開発に携わってきました。日本天文学会に
よる受賞理由では、技術的困難を乗り越えて高性能受信機を開発した業績が高く評価
されています。
[アルマ通信] バンド10受信機チーム 小嶋崇文氏が日本天文学会研究奨励賞を受賞
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/040810_9.html
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 ■ PICK UP! ■
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◎ 4月11日 映像「史上最高のアンテナを作る ~アルマアンテナ 架台部篇~」を公開
アルマ望遠鏡のパラボラアンテナ66台のうち、16台(12mアンテナ4台、7mアンテナ
12台)は日本で開発されたものです。これらのアンテナの開発には国立天文台と数多
くの企業が協力し技術の粋を集めて取り組みました。今回、その開発過程を記録した
映像を作成・公開しました。今回公開したのは、アンテナを正確に狙った天体に向け
るためのアンテナ架台部の開発の過程です。強風が吹き温度変化も大きいアタカマの
地で高い指向精度・追尾精度を実現するために、様々な工夫がなされています。設計
者や技術者のインタビューも合わせて収録していますので、ぜひご覧ください。
・Youtube で映像を見る
https://www.youtube.com/watch?v=Gts6__aqlAU
この他、国立天文台では2003年からアルマ望遠鏡建設記録映像の製作を続けています。
現在はアンテナが立ち並ぶ標高5000m地点にまだ何もなかった頃の映像から、アメリ
カでのプロトタイプアンテナ試験の様子、日本でのアンテナ開発とチリへの輸送など、
アルマ望遠鏡建設プロジェクトの様々な局面を映像に残しています。これらの映像は、
アルマ望遠鏡ウェブサイトの「映像」のページにまとめて掲載しています。華やかな
観測成果を出し始めたアルマ望遠鏡実現に至る道を、ぜひご覧ください。
[アルマ望遠鏡建設記録映像]
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/multimedia/movie/index.html
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 ■ イベント情報 ■
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◎ 2013年12月7日~2014年5月6日 日本科学未来館 THE世界一展
会場:日本科学未来館(東京都港区台場)
入場料:1000円(大人)
展示協力: 「未来へつなげ、ビッグプロジェクト」ゾーン内 「地球の目をつくる」
 (受信機部品、現地調査資料等提供)
参考ウェブサイト:http://www.miraikan.jp/sekai1/
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 ■ あとがき ■
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3月末から4月上旬にかけて、テレビ取材対応のためにチリ・アルマ望遠鏡サイトを訪
れました。このころは、ちょうど新月。山頂施設と山麓施設で撮影した写真を1枚ず
つご紹介します。
 http://twitpic.com/e09sxk
こちらは山頂施設で撮影したもの。観測中の日本製7mアンテナと立ち上がる天の川の
中には、南十字星も見えています。アンテナのわずかな明かり以外は真っ暗な地面に
星の光が映えます。
 http://twitpic.com/e09vsb
こちらは山麓施設での撮影。アンテナ運搬台車の車庫の明かりがアンテナを照らして
いますが、それでも大マゼラン雲が良く見えていて、透明度の高さがわかります。
標高5000mの山頂施設では酸素が平地のおよそ半分になるため、視野が狭くなったり
目の感度が落ちたりするようです。カメラで写真を撮るにはよいですが、肉眼で星を
見るにはあまり適さない環境かもしれません。
アタカマのような辺鄙な場所でのTVロケの場合、カメラマンは世界のいろいろなとこ
ろでの撮影経験を持つ方がいらっしゃる場合が多いのですが、そうした方でもアルマ
望遠鏡やその周辺の風景には感嘆の声を上げられます。自然が作り出す複雑な地形、
日本では見られない広大な平原や塩湖など、大自然のただなかで最先端技術を駆使し
て宇宙と向き合うアルマ望遠鏡は、やはり美しいものです。高地での安全管理などク
リアすべき課題が多く、現状では一般の方の見学を受け入れる体制が整っておりませ
んが、受け入れが可能になるまではテレビの映像や写真などで、厳しくも美しい自然
の姿をご覧いただければと思います。またテレビ番組については放送日が決まり次第
お知らせしますので、アルマ望遠鏡ウェブサイトやアルマ望遠鏡ツイッターでご確認
ください。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
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