アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
========================================
国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2021年3月29日号
========================================
今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
――――――
Pick up!
――――――
◎ 天の川銀河の中心部に「赤ちゃん星の巣」を発見
国立天文台のシン・ルー特任研究員らの研究チームは、アルマ望遠鏡による観測から、天の川銀河の中心部「銀河中心分子雲帯」に隠れた多数の赤ちゃん星(原始星)を発見しました。従来の研究では、この領域は潮汐力や磁場、高エネルギー粒子、頻繁な超新星爆発などの影響を強く受けるために星の誕生には適さない環境だと考えられてきました。今回の成果は、高密度な分子ガス雲の奥深くに隠れた星形成活動がありふれたものであることを示しており、天の川銀河の中心領域で今後激しい星形成活動が起きる可能性を示唆しています。
https://alma-telescope.jp/news/press/cmz-202103
――――――
Topics
――――――
◎ アルマ望遠鏡、科学観測を再開
アルマ望遠鏡は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて2020年3月から運用を停止していましたが、2021年3月17日(チリ時間。日本時間では翌18日)に科学観測を再開しました。最初に取得されたデータは、通常どおりのデータ較正作業と画像化が行われ、データの品質確認プロセスを通過しました。
https://alma-telescope.jp/news/restart-202103
◎ EHTプロジェクトが M87 ブラックホールごく近傍の磁場の画像化に成功
ブラックホールの画像を初めて撮影したイベント・ホライズン・テレスコープ (Event Horizon Telescope; EHT) プロジェクトが、楕円銀河 M87 の中心にある巨大ブラックホールのごく近傍で、電波の偏光を捉えることに成功しました。これは、ブラックホールの周りに整列した磁場が存在することを初めて直接的に示す成果です。この観測結果は、5500万光年離れた銀河の中心からどうしてパワフルなジェットを噴出できるのかを説明する鍵となります。
https://alma-telescope.jp/news/ehtpol-202103
◎ 惑星系の化学組成は誕生前から多様?-アルマ望遠鏡で多くの原始星を化学調査-
理化学研究所のヤオルン・ヤン訪問研究員(研究当時、現バージニア大学天文学科フェロー)らの国際共同研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて、約50個の原始星の周りに存在するガスの化学組成を調べ、有機分子の存在量が天体によって大きく異なることを発見しました。これほど多くの同じ領域にある原始星で、周囲を取り巻くガスの化学組成が調査されたのは初めてであり、原始太陽系における化学的起源の理解に貢献することが期待されます。
https://alma-telescope.jp/news/press/peaches-202103
◎ アルマ望遠鏡、木星の成層圏に吹くジェット気流を初めて観測
ボルドー天体物理学研究所のティボー・キャバリエ氏らの研究チームは、アルマ望遠鏡を使って、木星の成層圏に吹く風の速度を直接測定することに初めて成功しました。1994年に起きたシューメーカー・レビー第9彗星の木星衝突の余波を分析することで、木星の極付近に時速1450kmにも及ぶ強風が吹いていることが明らかになりました。研究チームは、この現象を「太陽系でもユニークな気象怪物(meteorological beast)」と表現しています。
https://alma-telescope.jp/news/jupiter-202103
◎ 激変する超巨大ブラックホール周辺環境 ―アルマ望遠鏡がとらえた星間分子破壊の現場
国立天文台の泉拓磨氏らの研究チームは、「ブラックホールを隠す物質そのもの」の物理化学的性質に着目し、アルマ望遠鏡を用いてブラックホール由来のX 線がもたらす特異な現象(星間分子の破壊と加熱)を捉えることに世界で初めて成功しました。星間化学に基づく本手法を適用することで、今後はブラックホール研究のミッシングピースであった「埋もれたブラックホール」も多数発掘可能となり、包括的な理解につながることが期待されます。
https://alma-telescope.jp/news/xdr-202103
◎ 大阪府立大学と包括的な研究協力の協定を締結
国立天文台と大阪府立大学は、包括的な研究協力協定を2021年3月1日付で締結しました。これまで共同研究という形で、アルマ望遠鏡の受信機カートリッジ構造体の検討試作、バンド4受信機の開発、そして最も高い周波数帯であるバンド10受信機の開発を行ってきました。本協定の締結を機に、両機関はその協力関係を今後ますます発展させていきます。
https://alma-telescope.jp/news/opu-202103
――――――
Events
――――――
◎ ノーベル賞受賞100年記念『アインシュタイン展』
会場:名古屋市科学館 理工館 地下2階イベントホール
日時:2021年3月20日(土)~6月6日(日)
国内外の貴重な資料とともに、科学おもちゃやゲーム体験を通じて楽しみながら学べます。アルマ望遠鏡の12mアンテナ模型なども展示されています。
https://einstein-nagoya.com/
◎ 南十字の下で -見えない宇宙に挑むアルマ望遠鏡-
会場:島根県立三瓶自然館
日時:2021年4月25日(日)13:30~15:00
講師:平松 正顕(国立天文台アルマプロジェクト助教)
定員:60名(要予約)
https://www.nature-sanbe.jp/sahimel/event/2368
――――――
Afterword
――――――
3月6日(土)、第25回アルマ望遠鏡講演会がオンラインで開催されました。南米チリにある国立天文台チリ観測所と中継を繋ぎ、日本では朝9時(チリ時間21時)からのスタートとなりました。アルマ望遠鏡による様々な観測成果の舞台裏で、アルマ望遠鏡の運用に関わる人たちがどんな仕事をしているのかを、チリ現地からレポートしました。また、最新の観測画像とともに、星の卵と誕生後間もないヒナの姿をご紹介しました。YouTubeで録画をご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
https://youtu.be/v7eq4LlRRq8
―――――――――――――― ☆ ―
In Search of Our Cosmic Origins
■ Twitter
■ Instagram
■ メールマガジン登録/解除
■ お問い合わせ
― ☆ ――――――――――――――
自然科学研究機構 国立天文台アルマプロジェクト
Copyright (C) 2021 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA), NAOJ. All rights reserved.
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
国立天文台三鷹の特別公開「星と宇宙の日2024」が、10月19日(土)に行われました。星と宇宙の日は、三鷹キャンパスの施設公開…
アルマ合同観測所副所長を務める、国立天文台アルマプロジェクトの水野範和(みずの のりかず)教授が令和6年度外務大臣表彰を…