アルマ望遠鏡の新データ伝送システム、基本設計審査を通過
アルマ望遠鏡の新しいデータ伝送システムに関する基本設計審査が実施され、無事に審査を通過し、次の詳細設計フェーズへ進むこ…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2021年7月26日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎ 世界初!宇宙空間の多くの分子からの電波を同時に受信するシステムの開発に成功
―宇宙の進化や星・惑星が形成されるメカニズムの解明に向けて―
大阪府立大学大学院理学系研究科宇宙物理学研究室と、国立天文台のアルマプロジェクト・先端技術センターは、星が生まれる現場にある様々な分子から放出される電波を、今までと比べて数多く同時に観測できる新しい受信システムの開発・試験観測に世界で初めて成功しました。この開発を応用することにより、宇宙の進化や星・惑星が形成されるメカニズムの研究に大きな進歩がもたらされると期待されます。
https://alma-telescope.jp/news/press/wideband-202107
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Topics
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◎ アルマ望遠鏡が観測した、混沌とした惑星誕生現場の姿
惑星の形成過程はいまだに謎に包まれています。天文学者たちは、何十年にもわたって惑星誕生の現場である原始惑星系円盤を研究し、惑星形成の詳細を解明しようとしてきました。欧州南天天文台のテレサ・パネケ・カレーニョ氏らの研究チームは、アルマ望遠鏡を使って初めて、若い星Elias 2-27を取り巻く原始惑星系円盤の渦巻き構造を深く掘り下げました。研究チームは、渦巻きの起源は惑星や伴星との相互作用ではなく、円盤を構成するガスや塵の自らの重力による不安定性であると考えています。
https://alma-telescope.jp/news/elias227-202106
◎ 超新星爆発は超巨大ブラックホールの給仕係?
宇宙に存在する銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍の質量をもった超巨大ブラックホールが存在すると考えられています。そしてその周囲には、ブラックホールの周りを回転するガスの円盤(核周円盤)があります。しかし、回転するガスは角運動量(遠心力)をもつため、なんらかの方法で角運動量を弱めないと、物質をブラックホールに落とすことができません。今回、アルマ望遠鏡と米国の電波望遠鏡VLBAを使って活動銀河NGC 1275が観測されました。アルマ望遠鏡では核周円盤のガスの広がりがとらえられ、VLBAでは核周円盤内に高エネルギー電子が分布していることが明らかになりました。これは、円盤内で多数の超新星爆発が起きていることを示すものです。超新星爆発によって円盤のガスの動きが乱されると、角運動量が弱まり、ブラックホールに向かってガスが落下できると考えられるのです。
https://alma-telescope.jp/news/cnd_202107
◎ イベント・ホライズン・テレスコープが描き出した最も近い電波銀河の心臓部
イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)の国際共同研究チームは、電波銀河と呼ばれる大規模ジェットをもつ銀河の中で最も地球に近いケンタウルス座Aの中心部をこれまでにない解像度で撮影しました。研究チームは中心の巨大ブラックホールの位置を正確に特定し、大規模ジェットがどのように生まれているかを明らかにしました。最も注目すべきことは、ジェットのふちの部分だけが電波を放射しているように見えたことで、これはジェットの理論モデルに影響を与えます。この観測では世界の7台の電波望遠鏡が同時にケンタウルス座Aを観測しましたが、アルマ望遠鏡はその中で最も高い感度を持つ望遠鏡として重要な役割を果たしました。
https://alma-telescope.jp/news/cena-202107
◎ サンチャゴ日本人学校での七夕講話
7月7日、チリのサンチャゴ日本人学校で朝木義晴准教授が天文学「アマノガワと銀河系」の講話を行いました。新型コロナウイルスの拡大で開催が危ぶまれましたが、開催1週間前に市内のロックダウンが緩和されたことで、学校を訪れての講話が実現しました。講話では、チリで観察できる冬の星座(南半球の7月は冬です)やアタカマでの星空、そして天の川の正体が星の集合の「銀河系」であることや、その中心部で天体の非常に強い活動があることなどを紹介しました。
https://alma-telescope.jp/news/tanabatachile-202107
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Events
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◎ ノーベル賞受賞100年記念「 アインシュタイン展」開催中
会場:名古屋市科学館 理工館 地下2階イベントホール
日時:2021年3月20日(土)~6月6日(日)9:30~17:00 入場は16:30まで
(毎週月曜日・4月16日・5月6日・5月21日 休館)
20世紀最高の物理学者と称される、アルバート・アインシュタイン(1879~1955年)。ノーベル物理学賞受賞100年記念の特別展を開催します。「一般相対性理論」や「特殊相対性理論」などのアインシュタインの科学理論や、日本とのつながりなどを、国内外の貴重な資料やゲーム体験や科学おもちゃを通して子どもたちが楽しみながら学べる内容です。
来場にあたっては感染対策にご留意いただき、開催状況についてはウェブサイトをご参照ください。
https://einstein-nagoya.com/
◎ ディスカバリーチャンネル× 国立天文台presents 国立天文台と学ぶ宇宙、そしてアルマ望遠鏡
配信方式:ZOOM(ウェビナー形式)
※参加者のPC接続確認などは参加者ご自身でご準備ください
日時:2021年8月22日(日) 13:30~14:30(終了予定)
参加対象:小学生(1~6年生)と保護者の方
申込フォーム:https://forms.gle/StynjnhqvFshXJtVA
国立天文台の天文・宇宙のスペシャリストによる身近な宇宙の話や、アルマ望遠鏡などの望遠鏡を解説。クイズやQ&Aも楽しめ、夏休みの自由研究にもぴったりなオンラインワークショップです!
https://special.discoveryjapan.jp/campaign/naoj2021/
◎ 野辺山特別公開2021「科学を支えるものたち」
日時:2021年8月28日(土)
形式:観測所構内とネット配信のハイブリッド方式
オンライン特別講演:『観測装置を作る、直す、ぶん回す-電波天文学の場合ー』
講師:南谷哲宏 国立天文台チリ観測所長
詳細:https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2021/open2021.html
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Afterword
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全国的に梅雨も明けて、暑い夏がやってきました。
毎年夏には、涼しい野辺山高原で国立天文台野辺山宇宙電波観測所の特別公開が開催され、多くの方でにぎわっていました。昨年はオンライン開催となりましたが、今年は観測所構内で行うオンサイトイベントと、ご自宅から楽しめるオンラインイベントのハイブリット方式での開催となります。オンライン特別講演では、アルマ望遠鏡の東アジア・エンジニアリングチームマネージャも務めた南谷哲弘 国立天文台チリ観測所長が、観測装置開発と望遠鏡運用の舞台裏を紹介します。
アルマプロジェクトは、オンライン形式での参加を念頭に準備を進めています。
詳細が決まりましたら、野辺山特別公開2021のウェブサイト
https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2021/open2021.html
でご案内いたしますので、ぜひご覧ください。
野辺山現地での企画は一部予約制になる可能性がありますので、現地見学を検討されている方はウェブサイトに今後掲載される情報にご注意ください。
合わせて、昨年の「野辺山特別公開2020「今年はおうちで特別公開」」もぜひご覧ください。たくさんの動画コンテンツで、アルマ望遠鏡のルーツでもある野辺山宇宙電波観測所について深く知ることができます。
https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2020/open2020_top.html
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