アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2021年8月25日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎ 太陽系外惑星の周りに月を形成する円盤を世界で初めて発見
グルノーブル大学/チリ大学のミリアム・ベニスティ氏らの研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、太陽系外惑星の周りにある塵の円盤を初めて明確に検出しました。これまでアルマ望遠鏡では若い星の周囲の塵円盤は多く観測していましたが、今回は、その円盤の中で作られつつある惑星のまわりの円盤(周惑星円盤)をはっきりととらえた点で、新しい成果です。周惑星円盤は衛星ができる現場ですので、この観測結果は、若い恒星系で月や惑星がどのように形成されるのかという問いに答える重要な成果と言えます。
https://alma-telescope.jp/news/pds70c-202107
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Topics
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◎ アルマ望遠鏡が観測した大質量星形成における磁力と重力の相互作用
自然界に存在する4つの基本的な力の1つである「磁場」は、水力発電所で電気を作ったり、医学で病気を診断したりと、日常生活の中でたいへん重要な役割を果たしています。では、太陽系の外では磁場はどんな役割を果たしているのでしょうか。国立天文台のパトリシオ・サヌエーサ氏率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使ってこの長年の問題に取り組みました。研究チームは、地球から7600光年の距離にあるIRAS 18089-1732と呼ばれる大質量星形成領域を観測し、渦巻き状の磁場構造を発見しました。しかし予想に反して、この磁場は、別の基本的な力である「重力」に圧倒されていました。
https://alma-telescope.jp/news/magnetic-202107
◎ アルマ望遠鏡による超高速回転原始星ジェットの検出
星の誕生時にジェットというガスの噴出現象が起こることが分かっていますが、何故ジェットが現れるかについては明確には分かっていませんでした。国立天文台の松下祐子研究員と九州大学大学院理学研究院の町田正博准教授らの研究グループは、OMC 2/FIR 6Bという原始星(幼年期の星)周囲をアルマ望遠鏡で観測しました。そして、この原始星から噴き出すジェットの回転を詳細に調べて理論モデルと組み合わせることで、ジェットの駆動機構とその役割を特定しました。
https://alma-telescope.jp/news/jetrotation-202108
◎ アルマ望遠鏡科学観測サイクル8への観測提案は過去最大に
2021年10月に開始されるアルマ望遠鏡科学観測「サイクル8 」は、これまでで最も競争率の高いサイクルとなりました。世界の研究者コミュニティから寄せられた観測提案の総要求時間数は、提供可能な時間数に比べて12mアレイで6倍、アタカマコンパクトアレイ(ACA、愛称モリタアレイ)で約5倍に達しました。この厳しい選考には新しく分散型審査システムが導入され、大規模観測計画を審査する審査員も含めて、1,000人を超える研究者の参加がありました。この数も、過去最大です。
https://alma-telescope.jp/news/cycle8-202108
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Events
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◎ ノーベル賞受賞100年記念「 アインシュタイン展」開催中
会場:名古屋市科学館 理工館 地下2階イベントホール
日時:2021年3月20日(土)~6月6日(日)9:30~17:00 入場は16:30まで
(毎週月曜日・4月16日・5月6日・5月21日 休館)
20世紀最高の物理学者と称される、アルバート・アインシュタイン(1879~1955年)。ノーベル物理学賞受賞100年記念の特別展を開催します。「一般相対性理論」や「特殊相対性理論」などのアインシュタインの科学理論や、日本とのつながりなどを、国内外の貴重な資料やゲーム体験や科学おもちゃを通して子どもたちが楽しみながら学べる内容です。
来場にあたっては感染対策にご留意いただき、開催状況についてはウェブサイトをご参照ください。
https://einstein-nagoya.com/
◎ 野辺山特別公開2021「科学を支えるものたち」
日時:2021年8月28日(土)10:00~
形式:オンライン方式
特別講演会:『観測装置を作る、直す、ぶん回す??電波天文学の場合ー?』
講師:南谷哲宏(みなみだに てつひろ)国立天文台チリ観測所長
今年度の特別公開は新型コロナウィルスの感染拡大を考慮し、ご自宅から楽しめるオンラインイベントでの開催とします。 オンラインのイベントスケジュールなど詳細は、ホームページをご覧ください。
https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2021/open2021_online.html
◎ はまぎんこども宇宙科学館・国立天文台連携企画「きらめく星の天文台だより」
―第2回「アルマ望遠鏡と中継をつなごう!」
日時:2021年9月4日(土)10:00~11:00 ※延長の可能性有り
講師:亀野 誠二(国立天文台 アルマプロジェクト 教授)
形式1:Zoom配信
【対象】洋光台サイエンスクラブ会員
【定員】各回数名
【参加方法】洋光台サイエンスクラブにご登録の上、マイページよりご応募ください。
形式2:Youtube配信
【対象】どなたでも
【定員】なし
【参加方法】当日になりましたら、下記URLよりご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=YGzQd0AzZpQ
詳細:https://www.yokohama-kagakukan.jp/kirameku_tenmondai/
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Afterword
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先月のメールマガジンでは、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の特別公開はオンサイトとオフラインのハイブリット方式で行う予定とお伝えいたしましたが、大変残念ながら今年もオンライン開催となってしまいました。
しかしながら、自宅でも楽しんでいただけるよう一同力を注ぎたいと思います。
オンライン特別講演では、アルマ望遠鏡の東アジア・エンジニアリングチームマネージャも務めた南谷哲弘 国立天文台チリ観測所長が、観測装置開発と望遠鏡運用の舞台裏を紹介します。
8月28日(土)午前10時から、ぜひ下記ウェブサイトからご参加ください。
https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2021/open2021_online.html
特別講演はYouTubeにアーカイブとして保管されますので、いつでもご覧いただけます。
合わせて、昨年の「野辺山特別公開2020「今年はおうちで特別公開」」もぜひご覧ください。たくさんの動画コンテンツで、アルマ望遠鏡のルーツでもある野辺山宇宙電波観測所について深く知ることができます。
https://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2020/open2020_top.html
来年の夏こそは、野辺山宇宙電波観測所で皆さまとお会いできる事を願っております。
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