アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2020年10月3日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎金星にリン化水素分子を検出 ~生命の指標となる分子の研究に新たな一歩~
イギリス・カーディフ大学のジェーン・グリーブス氏ら英米日の研究者からなるチームは、アルマ望遠鏡とジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡による観測で、金星にリン化水素(ホスフィン)を検出しました。リン化水素は、地球上では微生物によっても作られることから、太陽系外惑星における生命存在の指標のひとつと考えられています。研究チームは、リン化水素を作り出す金星大気での未知の化学反応について検討していますが、生命起源の可能性も排除はしきれないと考えています。今回の発見は、リン化水素が生命指標としての妥当性を検証するために非常に重要な材料であり、今後の金星大気の詳細観測の重要性を示す結果となりました。
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Topics
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◎宇宙最盛期を支える銀河の原材料 ~約100億年前の銀河たちが持つ分子ガス
広島大学の稲見華恵助教らの国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いてかつてない規模の深宇宙探査を行い、約100億年前の銀河で星の原材料となる分子ガスと塵(ちり)を持つ銀河を特定しました。この研究では、ハッブル宇宙望遠鏡の重点観測領域であるハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)を広範囲に観測しました。その結果、宇宙にありふれた小さな銀河は、大質量銀河とは異なる生成過程をもつ可能性が示されました。
◎塩と熱い水蒸気に包まれる巨大赤ちゃん星のペア
国立天文台の田中圭特任研究員らの研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、ふたつの大質量原始星IRAS 16547-4247を観測しました。その結果、それぞれの原始星を囲むガス円盤の中に、塵が壊されて飛び出した塩化ナトリウムや、高温に加熱された水蒸気が含まれていることを発見しました。今回の発見は、塩化ナトリウムや高温の水蒸気が放つ電波が大質量星の誕生を探るうえで重要な手掛かりとなることを示しています。
◎アルマ望遠鏡、最期を迎える星が噴き出すガスを克明にとらえる
年老いた星から噴き出すガス「恒星風」がこれまでになく鮮明に撮影されました。こうして噴き出すガスによって多様で魅力的な姿を見せる惑星状星雲が作られます。今回、星から噴き出した直後のガスが非対称な形状をしている様子が確認されました。ガスの非対称な形状は惑星状星雲によく似ており、両者の形が共通のメカニズムで決まっていることが示唆されます。年老いた星から流れ出すガスの量や、その星を回るお供の星との間隔などによって恒星風の形状が変わることも明らかになりました。これは惑星状星雲の形成メカニズムを明らかにする研究成果といえます。
◎アルマ望遠鏡の運用再開に向けた準備について
アルマ望遠鏡は、チリ共和国での新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、感染拡大防止を目的に2020年3月20日から運用を停止しています。最近になってチリでの感染拡大状況が改善してきたことを受け、アルマ望遠鏡の観測再開に向けた準備を開始することになりました。まずは、標高2900mに位置するアルマ望遠鏡山麓施設に、アルマ望遠鏡職員と契約業者職員が復帰する準備を行います。ご理解の程よろしくお願いいたします。
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Events
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◎三鷹・星と宇宙の日2020オンライン開催
今年の国立天文台三鷹キャンパスの特別公開『三鷹・星と宇宙の日』は、オンラインで開催します!宇宙の不思議とそれに挑む研究者の情熱を、丸一日かけてライブ配信でお届けします。さらに、さまざまな特設ウェブコンテンツも公開予定です。10月24日(土)は、終日「三鷹・星と宇宙の日2020」でお楽しみください。
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Afterword
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10月1日は「中秋の名月」でした。西日本や東日本の広い範囲で明るく輝くお月さまが見られたようです。そんな十五夜お月さまのもと、国立天文台三鷹キャンパスでは「#アルマのお月見」トークライブ をお届けしました。アルマ望遠鏡のツイッターにお寄せいただいた天文俳句の紹介をはじめ、アルマ望遠鏡による(木星・土星の)月の観測、金星のホスフィン検出についてもご紹介しました。今夜は、月齢16の月も見えているでしょうか?
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